天才テリー伊藤対談「谷 隼人」(2)周りの人たちって大変でしたよね? (2/2ページ)
谷 いや、帰れないどころじゃないですよ。ホテルに帰っても、何しろコーヒーばっかり飲んでて寝ないんですから。健さん、1日に30杯以上飲むんです。
テリー アハハハハ、いちいちやっかいじゃないですか!
谷 でもね、テリーさん。それは俺たちが健さんを尊敬しているっていう前提があっての苦労ですから。俺が初めて健さんに出会ったのは「網走番外地荒野の対決」、俺が東映に入って2本目の撮影の時です。
テリー 谷さんもまだ駆け出しだ。
谷 19歳の時です。その撮影が全部終わって「ありがとうございました!」って挨拶して、パッと顔を上げたら健さんがいて「お疲れ。お前、金あるか」って言うんですよ。で、「あります!」と答えたら、「バカ野郎、格好つけんな」と言って2万円いただいたんですよ。言っときますけど、昭和41年の2万円ですからね。
テリー その頃の2万円ってえらい大金ですね。そりゃポンと渡されたら、ビックリしちゃうな。
谷 「うわ~っ!」と思いましたよ。正直言うと、冷蔵庫の支払いとかいろいろあるうえに、貯金もありませんでしたから(笑)。しかも、その渡し方がカッコよくてねェ。あと、大スターの嵐寛寿郎先生が健さんの控え室に来て「嵐寛寿郎です、よろしくお願いします」ってご挨拶されてるのを見ちゃいましたから。その時から、俺は健さんに夢中になってしまったんですよ。