夏の甲子園「舞台裏」① ドラフト候補生を絞り込むヒミツ査定法 (2/2ページ)

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プロ野球コーチがそれを指摘したとき、適応できるのかどうか、また、修正することによって長所が死んでしまう選手もいます。投げるとき、打つときに無駄な力が入っている選手はダメ」(前出・同)

 とくに判断が難しいのが、高校生捕手の評価だ。一般的に、高校野球フリークは「若い選手を獲って、プロで育ててほしい」と思っている。しかし、現実論として、捕手はそうもいかない。二軍戦で高校卒捕手が配球サインを出すと、先輩投手は怒る。「こっちは生活が掛かっているんだ。何で、新人の勉強に付き合わされなければ行けないんだ!?」となり、担当コーチがベンチからサインを送ることになる。谷繁元信のように高卒でも一流捕手に上り詰めた捕手もいるが、それは当時の球団首脳陣が「特例」を各位に訴えたからで、優勝を狙う球団では、二軍でもそういった環境を作れないそうだ。大学、社会人を経由した捕手に対しては、先輩投手も「大人扱い」してくるので、トラブルにはならないそうだ。

 「高校生捕手は意図的に指名を見送るときもある」(在阪スカウト)

 現場スカウトは“衝撃的な現実”も口にしていた。「誰に教わったかが重要」――。プロで成長できるか…。それは学生時代に良き指導者に巡り逢えたかどうかで決まるといっても過言ではない。間違った教育をする指導者はいないが、その後伸び悩んだ球児の大半は、この傾向にあるという。高校卒業後の次のステージを意識した指導者は、基本にうるさい。甲子園で活躍する球児は少年野球のころから「天才」だ。しかし、その天才のなかには身体の成長が早いだけで“オイシイ思い”をしてきた者も多く、知らず知らずのうちに、技術的な基礎を怠っている。「基本」をしっかり教えられる指導者の下で野球を学んだのかどうかも、チェックしているのだそうだ。

 ファインプレーよりも堅実な守備。ネット裏のスカウトは、対象球児が基本に忠実であるかどうかをチェックしているようだ。

(スポーツライター・飯山 満)

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