混乱。落胆。そしてタックル。サクラフィフティーン、長田いろはの決意。 (1/2ページ)
フランス戦での長田いろは(立正大1年)。167センチ、64キロ。(撮影/出村謙知)
エッ。そう思ったときには遅かった。
うまくキャッチできず、こぼれたボールをフランスFLロマネ・メナジェールが拾う。背番号7はいっきにインゴールまで走り切った。
たった12秒で先制点を許してしまった。
8月9日に開幕した女子ワールドカップ。女子日本代表(以下、サクラフィフティーン)は、初戦のフランス代表戦に14-72と大敗した。カロリーヌ・ドルアンが蹴ったキックオフボールを取り損ねたCTB長田いろはが振り返る。
「予想していなかったので、エッと。慌ててしまいました。何が何だかわからないうちにトライされていました」
もともと明るい性格。気持ちの切り替えも得意。
「でも、あれは引きずっちゃいました」
先制パンチを見舞いたかったチームにとっても、本人にとってもショックは大きかった。
それでも18歳の背番号13は、必死で戦い続けた。自身のトイメンだったCTBカロリーヌ・ラダニューはスピードがあり、何度か抜かれた。しかし、明るさと同じぐらい武器としている負けん気の強さで食らいつく。前半20分過ぎから対応できはじめた。
「一本(しっかりと)タックルに入れてから、フェーズディフェンスでついていけるようになった」
落ち着いてきた。
周囲ともコミュニケーションをとった。本来の自分たちを取り戻した。
「最初、相手が個々の間隔を広くとってアタックラインを作っていたんで、それに合わせていたんです。それを自分たちはもう少し狭くして、インサイドから外に押し出すようにしたらうまくいった」
前半20分過ぎからハーフタイムまでは、特に手応えを感じた時間だ。誰もが戦等意欲を失っていなかった。
それでも前半7-29だったスコアは、最終的にさらに大きく開いた。
フランス代表はパワーもスピードも想像以上だった。サクラフィフティーンには時間の経過とともに怪我人が出て、レッドカードも。
そんな中で背番号13は最後までピッチに立ち、世界トップレベルを体感し続けた。