美食大国から”嘘食大国”に…中国の”猛毒食品”隠蔽の恐るべき実態とは?
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
2017年7月27日、中国国務院ならびに食品安全機構など10の政府機関が中国中央テレビ(CCTV)を通して、国内産食品に対する言論規制を強化することを発表しました。おそらく17年秋季の第19回全国代表大会(中国の国会)開催前にあわせ、社会の不安要素を隠蔽することが目的だと思います。
■自らの体調不良すら弾圧の対象となる
政府機関の発表を注視すると、「法人、個人に関わらず、あらゆる機関は中共政府の検閲、許可なしに食品に関する問題を指摘した場合、全てデマ拡散罪とみなし公安警察による法的措置を行う」という、弾圧同様の措置を実行しています。
法的措置の対象例を挙げると、誰かが「微博」や「微信」などインターネットのSNS上に「どこそこの食品は不正に作られ、汚染されている」といった投稿をするとしましょう。すると、その人物のIPアドレスはただちに切断され、公安警察により逮捕されます。投稿者のみならずリツイートやリプライなど意見に賛同した人物全員が同じ罪に問われます。
さらにひどいことに、中国製食品を食べて体調を崩した人物が、病院や検閲機関で調査した身体のデータを外部に公表することすら法的措置の対象となっています。
あまりにも高圧的な今回の措置に対し、当然多くの中国国民から非難の声が殺到しています。
「臭いものにはフタだ」
「悪徳企業からの賄賂で中共政府が利益を獲得するつもりだ」
「政府は国内問題を隠蔽するつもりだ」
と、中共政府の体質を批判したり、
「今後の中国は溝オイル(下水油を利用した再生食用油)、メラミン粉ミルク、発ガン性食品が氾濫する無法地帯になってしまう!」
「中国国民は不法業者が一斉摘発されることを期待しているのに、政府は我々の気持ちを踏みにじる気だ」
などと国内の現状を嘆く意見がインターネット上に寄せられています。
おそらく第19回全国代表大会の席上では、「現行の習近平(64)体制下で大きな国内問題は発生していない」と発表されるでしょう。日本をはじめとする先進国では食品問題が発生した場合、大々的に報道され問題の原因となった企業や業者には厳しい法的処置が行われます。このような行為が社会の改善につながるのですが、逆に中国は問題提起する側に法的措置を行う始末です。これでは社会がますます悪化するでしょう。
様々な料理を生み出し、かつては「美食大国」だった中国ですが、今は「嘘食大国」にすぎません。日本のみなさんが本式の中華料理を味わいたい場合は、中国本土ではなく、香港や台湾、あるいは横浜や池袋など日本国内の中華街の料理店に行くことをお勧めします。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。