24時間テレビのジャニーズギャラ数千万円は高いのか問題への反論|平本淳也のジャニーズ社会学

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Photo by USDAgov(写真はイメージです)
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 夏休みの終わりを連想させる風物詩と言えば『24時間テレビ』だろう。深夜を通して放送される不思議な番組ラインナップにワクワクした子供のころを思い出す。70年代の後半からスタートして40回目を数える日本テレビの看板番組だが今年は雲行きが怪しい。日本テレビ関係スタッフの飛び降り事故や100キロマラソンのランナーが決まっていないことなどの話題が先行して、思わぬスキャンダルな雰囲気が漂い始めている。

 中でも面白いと思ったのが、先頃発表された「郷ひろみ38年ぶりに出演」という見出しだ。なんとなく違和感があるのは「チャリティー番組」において紅白出場のような言い回しが面白かったのと同時に、38年間と言えば放送2回目に出て以来ということ。それまで24時間テレビには参加しなかった大物のひとりだ。

 チャリティーにおいて内容も話題作りも重要ではあるが、年に1回とは言え平均視聴率は二桁をゆうに超えていて募金額も毎年10億円ベースを維持できるテレビ番組は後にも先にも24時間テレビだけ。参加しない外野になんと言われようとその役目はシッカリ果たしている。僕がジャニーズ時代、武道館に手伝いに行ったときから僕は24時間テレビの味方だ。

 そのように24時間テレビと言えば、やはりジャニーズである。95年にSMAPが登場してから本格参加を続けている。KinKi Kidsがパーソナリティーを務めた97年のランナーはTOKIOの山口達也。山口が属するTOKIOは翌年のパーソナリティーに就任して、今度はV6森田剛が100キロを走る。1年休んだ2000年にV6がパーソナリティーとなり、ジャニーズ間でバトンを繋いでいった。

 そもそも24時間テレビのパーソナリティーは、初回のピンクレディーや2回目の石野真子、歴代には小泉今日子や沢口靖子から菊池桃子に後藤久美子などなど、その時代を代表するアイドルが担ってきた。かつて男性タレントはメインに欽ちゃんこと萩本欽一さんがレギュラー出演を続けていたのみだった。ちなみに欽ちゃん以外の男性がパーソナリティーになったのは赤井英和さんが初だった。

 メインパーソナリティーには「チャリティー」と「番組」を繋ぐ役目がある。「サポーター」や「マラソンランナー」は92年に登場した。名物の100キロマラソンも同年からで間寛平さんが2年連続で走っている。その後、裕木奈江や牧瀬里穂、酒井法子らがサポーターを担った90年代の前半まで、ジャニーズの出所は前出のように参加してはいるというレベルで扱は決してメインではなかった。

 その「メイン」という言葉が使われたのが2003年で、その名も「」メインパーソナリティー」である。初代の「メイン」はTOKIO、二代目は嵐、三代目はもうすぐ辞める草彅剛と香取慎吾、2006年はまだメンバーが揃っていたKAT-TUN、続いてタッキー&翼、NEWS、関ジャニ∞、Hey! Say! JUMP、40回目の今年は櫻井翔、小山慶一郎と亀梨和也の揃い踏みだ。

「メイン」が登場して14年間、すべてジャニーズのものである。しつこいようだが24時間テレビへの「ジャニーズのレギュラー参加」のために作られたのが「メインパーソナリティー」である。思うに今後、このメインを他社の誰れが受けるときが訪れたら、事情を知る人間にとっては事件レベルのニュースである。

 ちなみに募金の最高額は関ジャニ∞がメインとなった第34回(2011年)の約20億円で、ジャニーズがレギュラーになった後の最低額は東山紀之がサポーターを務めた第27回の2004年で7億2千万と三倍近くの差が開いた。平均視聴率も同様に17.1%と11.7で大きな差が生じている。時代や情勢における事由も影響も多々あることからこの数値になんら根拠はないが、関ジャニ∞は「持っている」と言いたい。みんな驚くが、ジャニーズでコンサート動員数が一番多いのは関ジャニ∞だからね。もっと評価されるべきである。

 24時間テレビだけでもジャニーズの歴史と合わせて様々な方向の記事がいくつも書けるが、これまで最も読まれて大きな波紋を残したのは「ギャラ問題」だ。僕の記事で最も多くのPVを取ったひとつで、「24時間テレビのギャラ5千万円はオカシイ?」といった内容で、この記事には賛否両論を呼んだ。

 チャリティーとはいえ「仕事」として「業務を請け負う」のだから「その報酬があって当然」というものと、単に「チャリティーだから無償にすべき」というもの。どちらも言い分はわかるが、僕の考えは前者である。というのはよく誤解されるのだが、チャリティーとボランティアは違うということ。タレントという限られた才能を持つ人間が相当の時間と労力を掻き、なにより「責任」が生じる場に一昼夜、立たされるのだ。数千万円のギャラでも少なくも感じるくらいだ。

 それとは対象に「海外のチャリティー番組の主演者は無償出演している」というケースを持ち出して批判する向きもいるが、それを本当に信じているのか?と聞きたい。手伝いやサポート程度なら金などいらないし、善意だけで働かせてもらいたいものだが、長時間拘束の業務となったら話は別だ。海外のチャリティー番組の出演者はせいぜい数曲歌う程度。準備期間や番宣まで含まれると数か月間に及んで拘束され、24時間の生放送を不眠不休でやらされる「メインパーソナリティー」になぜ無償を強いれるのか。彼らの激務や現場は、金銭が発生するプロだからこなせるもので、これをボランティアとして無理強いして参加させるのは労働基準法や強要罪など別の問題になりそうだ。

 また、どこまでも潔癖さを求めるなら、チャリティーイベントはどこからどこまでを無償にすれば良いのかという問題が出てくる。出演者となるタレントだけ報酬ならいいのか、番組制作費やそれに伴う人件費、会場として貸し出しているなる武道館側にも無償提供を求めるのか?チャリティーなのだから関係者みんな無償奉仕にして働けってということなのか?そんな線引きなんて誰にもない。タレント(出演者)だけを責めるのはお門違いということだ。

 また、ギャランティとなる額にしても高い安いが問題じゃない。なにしろもらった分と同レベル以上の募金や支援と支出を伴っているので、募金が増えるように他の誰よりボランティア精神で臨んでいるのがジャニーズだと言える。こんなことを擁護するのもオカシイが、出演者のみんなは金で動いている訳ではなく、人の役に立つならギャラがなくても参加はするし、自らの財布からも相当の額を募金している事実もあるわけで、責められるところなんかひとつもない。タレントが相応のギャラを辞退したら、裏方さんも辞退すべきか。そうではないはずだ。番組としての成功と募った数字、そして40年の歴史から見られるこれまでの責務は決して小さいものではなく、そして社会に貢献してきた実績を証明している。これに対して文句ばかり言う前に、1円でも寄付する善意を先に出してもらいたい。

 ジャニーズ事務所にしても公開はしないが、社会福祉や被災地へ相当の寄付と物資を提供している。儲けや利益のために24時間テレビに参加しているわけではないことは理解いただきたい。これはぼくがかつて踊ったステージで、客席が車椅子だけの方だったときが何度もあった。もちろんチャリティーだしギャラなんてもらっていない。ジャニーズは皆が知らないところで大きなボランティア活動を続けている。

 2012年の第36回『24時間テレビ』のメインは嵐、チャリティーパーソナリティーに上戸彩という布陣だったとき、嵐のギャラ問題が勃発するも「上戸彩は別に良い」という世論には正直、驚いた(笑い)。ジャニーズをバッシングしたいだけのようだが、ギャラ単価ではソロの上戸ほうが嵐の各メンバー個人より高いことを知ったらどう思うのだろう。

 ジャニーズとは正反対に、呼ばれてもいないのに募金箱や貯金箱を持って武道館に現れる「テレビに出たい芸能人や有名人」も多数いる。実際に武道館の現場では、キャストに手渡しできる「募金ロード」の受付で自身の立場を説明しながら出演交渉している裏場面もあったりする。「僕は芸能人なので(募金に来たことをテレビで)紹介してください」といったやりとりもあって現場は結構楽しい。今年は26日から27日にかけて放送される『24時間テレビ』のメイン会場に、ぜひ募金箱を持って遊びに行ってほしいものです。

著者プロフィール


ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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