台湾は反日だった?捏造された”南京大虐殺”の物証と台湾政府の思惑
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
2017年8月18日、台湾の首都・台北市総統府西門前広場に、刃物を持った男が無断で侵入し、衛兵の首を切りつけるという事件が発生しました。容疑者が使用した凶器は、1937年12月に旧日本軍が中国の一般市民を大量虐殺したとされる、いわゆる「南京大虐殺」に使用されたとして台北市の軍事博物館に展示されていた軍刀でした。
■洗脳された容疑者の陳腐な思惑
容疑者は無職の51歳の男で、犯行時に所持していたリュックサックの中には中国国旗と遺書が入っていました。遺書の内容は「毎日、中国中央テレビ(CCTV)の報道を観ていたら、祖国・中国の強大さに感銘した。私は習近平主席のために命を捧げる」というもので、台湾の蔡英文総統を殺害してから自殺するつもりだったようです。軍刀は軍事博物館のガラスを叩き割って盗み出したもので、おそらく「多くの同朋の命を奪った凶器で敵(蔡総統)を討つ」という陳腐な思惑が容疑者にはあったのでしょう。
今回の事件を受け、アメリカのメディア「RFA」が台湾国防部に取材したところ、マスコミのインタビュー時に「犯行に使われた凶器は『98式』という日本製の軍刀で、南京大虐殺時に107人の中国人の命を奪った『鉄の物証』だ」と返答しました。
台湾国防部はこの98式を旧日本軍が使用したと考えているようですが、僕は画像を観て多くの疑問を持ちました。98式の刀身と柄を連結する「はばき」と呼ばれる部分には日本語で「南京の役 殺 一◯七人」と刻まれているのですが、この言葉は日本語の文法「主語+目的語+動詞」ではなく、中国語の文法「主語+動詞+目的語」が使用されています。文字を読むと、「役」という字が「戦争」という意味で使用されているのですが、これは「戦役」の略語として中国で使用されるものです。
また、当時の日本政府の公文書にはカタカナが使用され、旧日本軍は刀で敵を殺害する際、「斬首」という言葉を使用していたなどの事実が存在します。旧日本軍人が記したものなら「南京ニ於イテ一〇七人斬首」というものになるのではないでしょうか。
文字以外にも疑問点が存在します。もともと日本には刀のはばきに文字を刻印する習慣はありません。しかも、犯行に使われた98式のはばきに記された文字の上部は柄側に向けられており、デザイン的に不自然です。
この刀は1937年12月に発生した「百人斬り」と呼ばれる、旧日本軍の向井敏明少尉と野田毅少尉が中国人の殺害数を競ったとされる事件時に使用された軍刀だと、蒋介石政権時の国民党政府に認定されたものですが、旧日本軍が98式軍刀を正式採用したのは1938年であり、百人斬り自体がでっち上げという説があります。
今回の事件に限らず、中国や台湾には南京大虐殺の物証として「捏造」されたものが数多く存在します。日本政府はそれらを積極的に摘発するべきだと思います。
親日的なイメージの強い台湾ですが、前任の馬英九政権から現行の蔡英文政権まで、日本を貶める捏造品を国立博物館に展示し、自国の地図や国定教科書には尖閣諸島を「釣魚台」と記載し、台湾領と主張している事実があります。
現在の台湾政府は中共政府に対抗するために日本を利用している「用日政権」かもしれません。僕の印象からすると、本当の意味での親日政権は李登輝時代以降、台湾には誕生していません。
台湾が今後、日本と経済、軍事面で密接な関係を築きたければ、捏造された歴史的文化財の撤去、尖閣諸島が日本領であることを認めるなど、姿勢を改善する必要があると思います。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。