秋津壽男“どっち?”の健康学「話題となっているO-157やアニサキス。食中毒と寄生虫ではどっちが危険?」 (2/2ページ)

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 アニサキスは本来、サバやアジ、イカ、クジラなどの海の生物に寄生しています。アニサキスが寄生しているサバやクジラには当然ながら害はなく、人間が口にした場合には胃の壁で防御反応が起こります。

 つまり胃の中でアレルギー反応が起きたために猛烈な腹痛が生じるのです。アニサキスによる腹痛はしばらくすると治まりますが、再び繰り返し腹痛が襲います。この繰り返しの間隔が長くなると、やがてアニサキスは死滅します。

 実は、寿司屋の板前さんの仕事ぶりを見ていると、生の魚の体内からアニサキスを取り除く作業を見かけることがあります。これはアニサキスによる食中毒を予防するためには必要不可欠と言っていいでしょう。つまりアニサキスは「いて当然」の寄生虫であり、仕事が丁寧な高級寿司店ならば、安心して寿司を楽しむことができるでしょう。

 もちろん寄生虫の症例はさまざまであり、人間の脳内や内臓に寄生する例も報告されています。しかし、人体に重篤な症状や死亡率を比べた場合、食中毒のほうがはるかに危険と言えます。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「話題となっているO-157やアニサキス。食中毒と寄生虫ではどっちが危険?」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 9/14号寄生虫“どっち?”の健康学食中毒秋津壽男カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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