マスコミに謝罪する芸能人とジャニーズ勢の明らかな違いとは|平本淳也のジャニーズ社会学

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Photo by Pixabay(写真はイメージです)
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 SMAPの元メンバー3人の動向が日課のようにニュースとなって配信されているが、結局のところ解散に至った経緯や退所理由の説明は最後までなく、今でもこの質問は受け付けていない。今さらあえて話す必要もないと思うが、本来は事務所がその説明責任を果たすところでもある。

 政治の問題でよく聞くのがこの「説明責任」だ。やらかしてしまったことに対して発端や経緯などを説明して理解を求めようとするものだが、この責任はなかなか果たされず、辞任や左遷で風と化すのが常套だ。前都知事の舛添さんや石原さんにも課せられた豊洲移転問題では何度も耳にした説明責任。

 果たさないところではジャニーズ事務所の右に出るものはいないだろう。群を抜いてダントツだ(笑い)。何があっても説明なんかしたことがない。いや、それなりの説明と報告はしている。「事件」については事務所より本人が前に出て会見。(稲垣)吾郎と(草なぎ)剛が逮捕されたときは致し方ないし当然だ。木村のスピード違反が発覚したときはコメントのみだったが、とりあえずのご挨拶は配信する。

 ただし、事務所スタッフが前面に出て取材を受けるとか経営陣が揃って会見を開くとか、他の企業や事務所なら当然のことでもジャニーズ事務所は受け付けないし、自らが立ってまでは行わない。剛の逮捕時に事務所前でスタッフの一人が囲いを受けていたのが印象に残っているが、それは珍しいケースだった。

 テレビやスポーツ紙などの大手メディアは必要以上に追わないし、箝口令を敷かれたらしっかりストップするのも今や当たり前のこと。大手メディアに忖度してもらえる立場が天下のジャニーズ事務所にはある。それが悪いとは思わないし、むしろタレントにとってはその姿勢で守られている安心感がある。

 ジャニーズは黙って火消しする。タレントも黙って待っているだけ。余計な事は言わないし、やらない。大手メディアも事を大きくしないし続報もないし追いもしない。なかったことにすら出来るしそうしている。いま、斉藤由貴さんの不倫疑惑について各メディアは大騒ぎだが、これはジャニーズのタレントが絡んでいたら、まずならありえない光景だ。

 ジャニーズのタレントといえど高齢化が進めば「オトナの遊び」も必然的に増えていくところ。ジャニーズでもいずれ、こういったスキャンダルも発覚する筈だが、ジャニーさんとメリーさんが生きている間は表に出てこないだろうし、紙媒体での報道はあってもテレビでは追わないので、自然と消えてなくなるのもこれまでの常識だが、若手の「遊び方」が昔と比べて派手になっている懸念から、最近では引き締め指導が重圧になっている。

 ジャニーズにはほぼ無関係な「不倫騒動」も間髪なくやってくるが、国民の皆さんはこの手のニュースが大好きだ。ワイドショーの街頭インタビューも不倫について語る時はみんな楽しそうだし、ただオカシイと思うのはここでの説明責任である。良いことか悪いことかと言えば悪いが、そこまで芸能人が責め立てられることだろうかと疑問に思う。

 ご迷惑をおかけして申し訳ございませんと、カメラを通して全国に伝えるべきなのだろうか。当事者と関係者の間柄なら当然のやりとりを、何故に国民に向けてメッセージを発信するのか。もっと言えばマスコミに対して謝罪しているかのようにもとれる。

 週刊誌は最強だ。SMAPやベッキーに清原もみんな週刊誌の砲弾を浴びて撃沈しているのはご存知の通り。お笑い芸人さんはみんな逆手にとって自らの得意ネタに使っているようなケースもあるが、斉藤由貴さんはそういうわけにはいかない。国民に謝ったからといっても何も変わらないし、世間が許すとか許さないという話でもないはずだ。

 なんのためにカメラを前にして謝っているのか、よく考えると不思議な感じがしてならない。言い換えればマスコミに追い立てられた挙句に致し方なく説明や謝罪を行うといったもので、多くは不倫発覚の時点では否定するも、結局は涙の記者会見に落ち着く。芸能人がマスコミに謝らされている場面を全国放送するワイドショードラマだ。その点、やっぱりジャニーズは強い。大手の東宝であっても避けては通れない路をジャニーズは完全に遮断する。

 ただし、改めて思えば『SMAP×SMAP』でメンバー4人が謝罪した様子などは明らかにオカシイ。お騒がせしてごめんなさいといった謝罪は本来いらなかった。騒がせてこそ芸能人で、その騒ぎを楽しむのが視聴者や読者だ。犯罪や事故などは勘弁だが、SMAPの解散騒動については誰がどこに謝っているのか全く不明なままだった。

 そんなSMAP騒動の最中に広報を担ってきた本部長が役目を退いてしまったことも要因ではあるが、ジャニーズは広報が下手になってしまった。床下コントロールはプロだが、企業としての広報は全く機能していない。対マスコミの部署もあり担当者もいるが、ジャニーズを知り尽くし、そのうえで代表や上層部の意向や思考を理解して代弁できる「広報のプロ」がいない。

 会社としてのコメントも、実はジャニーズの場合はジャニー喜多川さんが記者に直接伝えるケースが多い。そのコメントの中にはオンオフもあるが、良いトコ取りでお持ち帰りするのが通例だ。ジャニーズに限らずどの芸能プロダクションに対しても忖度はある。しかし政治と芸能界のスキャンダルについては世間が盛り上がるので「説明責任」の名の元にマスコミから矢を向けられると、いつの間にか謝罪させられている。政治家じゃないんだから説明するほうがオカシイし、謝るのもオカシイ。そんな場面が多いと感じてしまう。

 株主やファンクラブ、後援会など金銭的な対価や労力を支払っている方々からすれば、それに相応しい責任を課すでしょう。それらの人々が説明を求めるのは当然の権利だが、まったく関係ない人が騒いで、関係ない人に謝る芸能人の皆さん……いい加減、オカシイ光景だと気付いてほしい。

 よく「プライベートのことなので」と上手にかわす人もいるが、それでいいはずだ。例え踏み込まれても写真が流出しても無視していれば良いのにわざわざ相手にして平伏せては負けを認めて謝罪する。日本と韓国はおおむね同じ対応だが、欧米は全然違う。ハリウッド俳優&女優、歌姫さんたちにスポーツ選手ら世界のセレブリティな方々はパパラッチされることを恐れつつも理解をしているところもあり、それでいてゴシップ記事にいちいち反応はしない。

 例外として、関係ない家族や友人に飛び火することには怒りをあらわにするが、対象となっている自分が何を言われようと何を書かれようといっさい気にしない。それが不倫であっても動じないし、プライベート写真の流出などで記者会見を開くこともなく、下世話なスキャンダルなんて怖くないのが世界のスターだ。アジア人と欧米人の違いなのか、スキャンダルの取り扱いがまったく違って思える。ハリウッドのスターはマスコミを相手にしてないわけではなく、昔から色分けして上手に付き合っているのだ。

 その一方、ジャニーズ事務所にはマスコミにも味方と敵がいる。お抱えメディアとの信頼関係は絶大だ。ジャニーズ発の情報はすべて良い内容の記事に仕上がり、その話題に花を添える。

 しかし、そうした中でもジャニーズ事務所のインターネットに対する考えは大きく変化している。かつてはSNSなど屁とも思っていなかったところ、SMAP解散騒動でその力を思い知ったのか、最近はかなり気にかけている様子だ。発信する言葉ひとつひとつを間違いのないように、揚げ足を取られないように作られているのが分かる。それでもジャニーズ事務所のトップスリーへの不満は止まないが、その3人がネットの意見を参考にすることはない。

 つまり、みんなが何を言っても何をやっても上層部には届かないということ。仮に耳にしたところで何とも思わないだろう。ジャニーさんは、ステージを見ているお客様に対して最高のエンターテトイメントを提供することで目の前の感動を信じている人だから、ネットの意見はどうでもいいという考え。そんな頑なな姿勢がジャニーズ事務所の礎となっているのだ。

著者プロフィール


ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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