秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール分解には人種や遺伝子も関係。栄養剤ではなく自身で適量を探るべき!」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール分解には人種や遺伝子も関係。栄養剤ではなく自身で適量を探るべき!」

 秋になると左党にとっては、お酒がおいしく感じる時期でもあります。

 仲間内に下戸がいると、「かわいそうだな。こんなにウマいものが飲めないなんて」というセリフを口にする人もいるでしょうが、お酒は人種や遺伝的体質により、体内のアルコール代謝能力に大きな差が生じると言われています。

 アメリカのサラリーマンは仕事終わりに、マティーニを2~3杯飲み、ワインを空けて、最後にバーでウイスキーをがぶ飲みする人が多いそうです。これを日本人が同じようにしてしまえば、多くの人がダウンしてしまうでしょう。これは肝臓のアルコール分解能力がアメリカ人と日本人ではまったく違うわけです。

 同じ日本人でも酒を飲むと顔が赤くなる人と、そうならない人がいるように、ある研究によれば、縄文人型に大別される人々は酒が強く、弥生人型は酒が弱いと言われています。一般的に、黒潮沿いの沖縄から鹿児島、宮崎、高知の人々に大酒飲みが多いのも、縄文人型のDNAが受け継がれていると言われています。「“沖縄顔”は飲めて“公家顔”は飲めない」などという俗説も恐らく、お酒の遺伝体質を類型的に表した言葉だと思われます。

 お酒を飲めない人や飲みすぎた場合、体内でアルコールを処理しきれず、頭痛や吐き気、翌日に二日酔いとなります。これは、アルコールの摂取量がアルコール分解能力(アセトアルデヒドの代謝能力)を超えるからです。

 では、ここでお題です。最近は「二日酔い防止のドリンク剤」が数多く販売されていますが、これは飲むべきでしょうか?

 医師の立場からすると、こうしたドリンク剤を飲むことはお勧めできません。二日酔い防止のドリンク剤は、諸症状を軽減してくれるだけで、決して肝臓が強くなるわけではないので、「ドリンク剤を飲んだからいつもより飲める」などと調子に乗れば、結果的に二日酔いになります。

 中でも、東京都が毎年発表している、健康食品による副作用の報告集計によると、ウコンによる肝障害の症例報告が複数の医師から出されています。ウコンは肝臓を守る効果こそありますが、人によっては相性が悪く、ウコンにより肝障害を起こして入院するケースもあります。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール分解には人種や遺伝子も関係。栄養剤ではなく自身で適量を探るべき!」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 10/5号“どっち?”の健康学秋津壽男アルコール二日酔いカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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