地域や宗教によって異なる棺桶。「棺」と「柩」の違いって?

心に残る家族葬

地域や宗教によって異なる棺桶。「棺」と「柩」の違いって?

死者のために用意された「棺」に、亡骸が入れられて「柩」となります。通夜、葬儀ではこの「柩」に、残された人々は、様々な想いを遺体と共に収めて送り出すのです。
「柩」から見た、亡き人の最期の表情。皆、その顔を心に刻み、想い出とし、いつまでも心に残し続けることでしょう。すなわち、死者がその後も人々の中に恒久的に生き続けるとは、まさに「柩」から垣間見た最期の姿、なのではないでしょうか。

■地域や宗教、文化、慣習の違いで異なる棺桶

さて、この「ひつぎ」と一言でいっても、トータルすると死者を納めるために使う「棺桶」という意味に集約されがちですが、使用の過程、国、宗教によっても、それぞれに形や意味あいは変わってくるのです。まず、一般的なニュアンスとして先述した「棺」と「柩」の違いがあり、物体としての「棺桶」から遺体が収納された「柩」へと、ビフォー・アフターでの使い分けがあるようですが、その「棺桶」にも、木造の「木棺」と石造の「石棺」があります。形にも、日本ではお馴染の長方形の形状と、ヨーロッパ辺りで用いられる、人型にフィットするように、頭部から肩部の部分が広がり、下半身に至って細くなっていく形状の「棺桶」などがあります。

これらの、国や宗教によっての違いは、勿論、文化や風習の違いではあるのでしょうが、そこには、埋葬し、見送る遺族や残された人々の、死後という世界への考え方の伝統が現代まで形やなごりとして受け継がれているのでしょう。

■エジプトのピラミッド

古代エジプトの歴代のファラオ(王)の「ひつぎ」をテレビや雑誌などで見たことのある人は多いのではないでしょうか。鮮やかな装飾が施され、人型に模られた形状で、まるで、死者そのもののように思わせる見事な「ひつぎ」です。これはまさに、死後への想いが込められているのです。

ピラミッドはファラオの権力の大きさを誇示した墓と考えられてきましたが、研究では、ただの墓ではなく、死後の世界から現世に再び復活するために建造されたという説も有力視されており、そのためにあの「ひつぎ」がファラオの生前の姿を現す重要な役割を担っているのではないでしょうか。

ツタンカーメンの「ひつぎ」を見て、後世の人々は「なんて凛々しく端正な姿なのだろう」と、きっとそう思うに違いない。そしてまた、その姿でこの地上を支配してもらいたい。そんなファラオを慕う人たちの想いが「ひつぎ」からひしひしと伝わってくるようです。

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