フランス人には理解不能な日本の「不倫バッシング」

まいじつ

(C)Shutterstock
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フランスの人々は、日本で著名人の不倫が騒動になることについてびっくりしているようだ。フランスでは、有名人の不倫などはメディアもゴミ扱いにする。さすがに大統領やアラン・ドロンのような国民的スター、スーパーセレブともなればティータイムの話題くらいにはなるが、それもプライベートなことが暴露されたことを憐れんでのことだという。

「愛人について記者から質問をされた際に『エ・アロール(それがどうした?)』と答えたフランス元大統領のフランソワ・ミッテランは、この世を去って20年が経ちます。そのミッテランの愛人だったアンヌ・パンジョが、昨秋に33年間にわたって受け取ったラブレター1218通をまとめた『アンヌへの手紙』を出版しました。国民の多くは、アンヌの自己陶酔に批判を向けるどころか、ミッテランがしたためた手紙の文学的素養の高さと官能的な表現力に驚き、生涯を貫いた愛の純粋さに共感したのです。もちろんメディアの反応も好意的でした。もっとも、フランス人が不倫をバッシングをしないのは、誰もが“たたけばホコリの出る体”だからです」(フランス在住日本人ジャーナリスト)

『聖書』のヨハネ福音書第8章にある《汝らのうち罪なき者、石もてこの女を打て》が、広く深く浸透しているということだろうか。

不倫は不道徳という倫理観

翻って、人類史最高の恋愛小説はレフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』だという説が有力だ。日本では紫式部の『源氏物語』だというのは誰もが認めるところ。両書とも不倫、不義密通を扱った文学作品だが、品行方正な小説など芸術に値しないだけでなく、人に感動を与えることすらできないということなのだろう。

「日本人も自分のプライバシーを尊重してほしいなら、他人のラブアフェア(恋愛事件)には寛容になるべきです。三木武吉(鳩山一郎の盟友で保守合同を成し遂げた功労者)は、総選挙中の立会演説会で、対立候補から『妾を4人も持っているのは不道徳だ!』と野次られたとき『4人とは勉強不足だ! 4人ではなく5人だ!』と応えました。このように、日本では昔から不倫は不道徳という倫理観が根強いですから」(政治ジャーナリスト)

不倫は文化だと言うつもりはないが、責める権利があるのは当人の家族のみではないか。

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