なぜコソボにあるのにセルビアの世界遺産?ペヤ総主教修道院が表す複雑な歴史 (2/3ページ)
ただし、コソボは世界遺産条約に加盟しておらず、世界遺産センターでは「コソボの中世建造物群」はセルビアの世界遺産に分類されているという複雑さ。
アルバニア人とセルビア人の対立はいまだ解消されたとはいえず、コソボにあるセルビア文化の象徴ともいえるこの修道院は、国連軍や警察官によって守られてきました。
筆者がペヤ総主教修道院を訪れたとき、たまたまチェックポイントは無人でしたが、帰るときには警察官2名がにらみをきかせていました。
チェックポイントではパスポートの提示や預けを求められることがあるので、ペヤ総主教修道院を訪れる際は、パスポートをお忘れなく。
この修道院が建てられたのはいつのことか、はっきりとはわかっていませんが、13世紀半ば、それまで大主教座であったジチャ修道院がブルガリア帝国の脅威にさらされたため、より安全な山あいのこの地に大主教座が移ってきました。
その後、1346年にセルビア正教会がコンスタンティノープル(現イスタンブール)の総主教庁から独立したことで、この修道院も大主教座からより格上の総主教座になりました。
西ヨーロッパにある教会や修道院とは趣の異なる、オリエンタルな香り漂う外観が印象的です。
ペヤ総主教修道院は、3つの教会がつながった構造となっており、最も古いのは真ん中にある聖使徒教会。
厳かなフレスコ画やきらびやかなイコノスタスで彩られた修道院内部は、鳥肌が立つほど神秘的なパワーに満ちた空間。