あやかりたいという理由で墓石を削って持っていくこととその遺族の思い (5/5ページ)

心に残る家族葬

しかし、遺族の側からすると、いつまでも赤木を忘れないでいてくれるのはありがたいこととはいえ、それが嵩じてしまったものは単なる迷惑行為でしかない。

とはいえ、こうしたことを避けるため、有名人の遺族が、墓の周囲に防護壁のようなものを設け、ファンの墓参を完全拒否してしまうのも物悲しい限りである。回向院内で削るための「欠き石」がある鼠小僧次郎吉の碑にせよ、現在の赤木圭一郎の墓にせよ、ファンはどうか、過剰な「好き!」や「何が何でもあの商談を成功させたい!そのためには何でもする!」などのエゴイズムを自制し、祀られた人、そして彼らの遺族のことを考えて欲しいものである。

■参考文献

■東京都墨田区(編)『墨田区史』1959年 東京都墨田区(刊)
■江戸町名俚俗研究会・礒部鎮雄(編)『江戸から東京への俗信迷信集』1969年 江戸町名俚俗研究会・礒部鎮雄(刊)
■「明星 “映画スタア・ベストテン”第9位(中間発表) 5月8日トニーの誕生日は祝電がいっぱい」『週刊明星』1961年5月28日号(90−93頁)集英社
■「ワイド特報 スターをめぐる明暗 15周年に遺族と後援会が対立…永遠の恋人 赤木圭一郎のお墓移転が大問題」『週刊明星』1975年2月16日号(182−183頁)集英社
■「緊急特報 2月21日の命日を目前に あの赤木圭一郎の墓が突然消えた!墓石はハンマーでくだかれ、空地に…なぜ?」『週刊平凡』1975年2月20日号(49−51頁)平凡社
■「『輝ける昭和人』血族の証言55:赤木圭一郎 弟の墓石まで削り取っていったファンの人達 田代民枝」『文藝春秋』1989年9月号 (159−160頁) 株式会社文藝春秋
■不二龍彦『迷信・俗信大百科』1996年 学習研究社
■小林旭『さすらい』2001年 新潮社
■岩井宏實『吉を招く「言い伝え」 縁起と俗信の謎学』2005年 青春出版社
■墨田区教育委員会(編)『改定 すみだの文化財 平成22年度版』2011年 墨田区教育委員会(刊)
■加門七海『墨東地霊散歩』2015年 青土社

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