畑を荒らす「害獣」を捕獲したら怒られた!?

まいじつ

くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)
くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)

本来は山地や森林地帯に生息するタヌキによく似た『二ホンアナグマ(以下アナグマ)』が、住宅街にまで降りて来て、家庭菜園などを荒らす事例が増えている。今年6月23日、福岡県飯塚市で初めて有害鳥獣に指定されたアナグマが、市内のある家庭の菜園で捕獲されたことが意外な問題に発展している。

捕えたのは自宅敷地内にわなを仕掛けた同市民だった。処分を依頼するため市に連絡したところ、逆に叱責されてしまった。駆け付けた農林振興課職員は次のように指摘したのだ。

「猟期(11月15日~翌年2月15日)以外の期間は、『わな猟免許』が必要で、いまの時期、無許可で捕獲器の設置は認められていません」

鳥獣保護法では、わなを設置するのが自宅の敷地内であっても、厳密には違法行為となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される恐れもある。ただし捕獲器の購入や販売については、猟銃のような厳しい制限はない。

この市民は市内のホームセンターで捕獲器を1万円で購入して約半月、設置場所や餌を変えながらようやく捕獲したのだが、わなの設置時期については店側の説明はなかったという。結局、このアナグマは山に帰ることになった。では猟期内ならどうするのだろうか。

アナグマは日本固有種で保護対象だが…

「有害鳥獣に指定された現在、市に通報があれば有害鳥獣駆除員に連絡して、市から駆除員が派遣されることになります」(飯塚市職員)

その駆除員の懐事情もなかなか大変なのだ。現場や殺処分後に搬入する処分場に向かうガソリン代、市に提出する証拠写真代などの経費が掛かる。イノシシとシカの駆除に対しては、国の基準(8000円)に市独自の補助金(7000円)が上乗せされるが、アナグマ駆除に支払われるのは国の基準に沿った1000円のみだ。カラスは1羽200円で、猟銃の弾1発が240円ほどかかるので赤字が出る。そのため、駆除員に声を掛けてもなかなか集まらないのが現実だ。

日本の固有種であるアナグマは、アライグマのように外来種でもなければ狂暴でもなく、どちらかというと保護されるべき立場だ。しかし、アナグマを放置することによって人間の生活が脅かされる事態に発展しようとしている。

人間の生活環境を保護するのか、それとも固有種であるアナグマを保護するのか。悩ましいところだ。

【画像】

くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)

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