米傘下企業の統合失敗でソフトバンク携帯電話事業に暗雲 (1/2ページ)

週刊実話

 プロ野球では、福岡ソフトバンクホークスが2年ぶりの日本一、スマートフォンも米アップルが11月3日に発売した『iPoneX』が売り上げ好調で、ますます順調に見えるソフトバンクグループ。しかし一方で、孫正義社長が、この数年最大の精力を注いできた傘下の米スプリントと、TモバイルUSの経営統合が暗礁に乗り上げ、「果たして経営は大丈夫か」との懸念が業界内に強まり始めている。

 まずは経営アナリストが、ソフトバンクの最新動向をこう解説する。
 「約15兆円という天文学的有利子負債のあるソフトバンクが、企業として市場からレッドカードを突き付けられないのは、近未来の成長産業に投資し、それを市場が期待するためです。中でも孫社長は、アメリカ携帯市場の“第三極”を目指し、4位のスプリントを2兆円近い投資で買収、ドイツテレコム傘下で同3位のTモバイルUSとの経営統合を模索してきた。アメリカの携帯事業のリードオフマンになれば、日本はもちろん、世界の通信事業の覇者が見えてくるからです。ところが最終合意直前、双方の主導権争いが表面化し、今回の破談となってしまった」(経営アナリスト)

 アメリカでの携帯事業といえば、上位2社が圧倒的な顧客数を持つ。民間調査会社調べでは、'17年3月末現在、トップがベライゾン・コミュニケーションズで、契約者数は1億4601万人。2位がAT&Tで、1億3422万人。そして、3位がTモバイルUS(7260万人)、4位がスプリント(5874万人)。TモバイルUSとスプリントの合併で上位2強に追いつく状態だった。
 「2020年を目指し、世界の携帯市場では、『第5世代移動通信システム(5G)』の時代が到来する。例えば、荷物の宅配で、携帯端末で宅配業者を確認して遠隔地から鍵を開け、家の中に入れるなど、あらゆるものがネットでつながるIoTの一般普及。これにAI(人工知能)も加わり、新たな通信時代が到来します。その基盤となるのが、高速通信、大容量、低電力、低コストの5Gです」(通信事業関係者)

 ただ、5Gで通信が高速化すれば、より直進性の強い電波が必要となる。となると、これまで高層ビルも楽にクリアできた4Gとは異なり、多数の小型基地局をさらに設置する必要に迫られるため、莫大な設備投資が必要だ。

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