玉木正之のスポーツ内憂内患「箱根駅伝は全国化で“組織改革”も断行せよ」 (2/2ページ)
彼らが地元の大学で「箱根」を目指すようになれば、いずれ格差も解消し、全国的なレベルアップにもつながるはずだ。
そもそもスポーツは、一切の「属性」で差別されず、誰もが平等に参加できることが大原則だ。が、大学スポーツには、大学という「属性」に所属していなければ出場できないという、スポーツの大原則と矛盾する前提が存在する。そのため、新たな「属性」(関東の大学だけ)が加わっても、その「差別」や「利権」を見逃すケースが少なくないのだ。
例えば箱根駅伝という人気イベントに女子部門が存在しない(女子ランナーは参加できない)のも、オリンピック等で推進しているスポーツの男女同一種目での実施原則に反していると思えるが、それを指摘する声は聞かれない。
また箱根駅伝の放送のために日本テレビが支払っている放送権料は2億4000万円と言われている。が、「箱根」の出場大学には出走料として各大学に200万円(20大学で合計4000万円)が支給されるだけで、関東学生陸上競技連盟は、その決算を公表していない。
それは以前からの「慣例」で連盟は任意団体であり、決算報告の義務もなく、報告すべき上部の管理組織もないからというのが実情だ。が、こんな杜撰な「慣例」のままでいいはずもなく、「全国化」をきっかけに組織改革にも手がつけられるべきだろう。
(玉木正之)