死後離婚した場合の義親の扶養義務と遺族年金も含めた相続について解説

心に残る家族葬

死後離婚した場合の義親の扶養義務と遺族年金も含めた相続について解説

死後離婚という言葉が注目を集めているらしい。筆者も調べてみたのだが、内容は配偶者が亡くなった後、姻族関係終了届(民法第728条2項他)を居住する市町村に提出し、亡くなった配偶者の両親や兄弟姉妹との法的な関係を無効とすることだ。更に、婚姻によって別姓となった人が、姻族関係終了届を提出すると同時に復氏届(民法第767条1項他)を提出し、婚姻前の旧姓に戻すこともセットで行われているようだ。ここで最も気になると思われるのが、二つの届を提出した場合において、亡くなった配偶者の両親の扶養義務(民法第877条1項他)並びに亡くなった配偶者の相続だ。

■死後離婚後、義理の親の扶養義務を負う必要はなし

最初に義理の両親の扶養義務についてだが、民法上配偶者であっても家庭裁判所が特別の事情があると判断した場合には扶養義務を負わせることができるとされている。しかし、姻族関係終了届を提出すれば、扶養義務を負う必要はなくなる。判例を見ても特別の事情が認められ、扶養義務を負うことになったケースは非常に稀なので、心配する必要はないものと考える。

■死後離婚しても相続権は維持される

次に相続だ。ポイントとして、配偶者が亡くなった日即ち相続が開始された日(死亡診断書に記載された死亡日)において、婚姻関係にあれば法定相続人となっている。故に、大げさに例えれば亡くなった日の翌日に姻族関係終了届を提出しても、相続権は維持されることになるので、相続については問題なく相続財産を相続できる。当然遺留分も認められる。また、遺産分割が終了した後に、他の親族から相続財産の返還を求められても応じる必要はないし、相続放棄についても問題なく手続き可能だ。

■死後離婚しても、遺族年金は支給される

次に付け加える物は遺族年金だ。遺族年金は、亡くなった人が国民年金か厚生年金の加入者であった場合、亡くなった時点で一定の手続きをすれば支給される。これも前述の様に、亡くなった日に婚姻関係にあれば、支給要件を満たしているものと見做されるため、問題なく受給可能なはずである。

■最後に…

以上のようにポイントを押さえておけば、扶養義務や相続について何等問題はないものと考える。死後離婚が注目を集めている背景は、墓制の有り方の多様化や配偶者と同一の墓に埋葬されたくないという考えからきているものであろう。しかし、子供が居た場合には姻族関係終了届の提出は慎重に考慮すべきだ。何故ならば、義両親の扶養義務は状況にもよるが、子供が負うことになるからだ。更に子供にとっては祖父母、つまり血族となるべき人と絶縁したら、子供はどう考えるだろうか。将来、子供に配偶者ができたら。同じように自分も姻族関係終了届を提出され、自分の孫と一切会えなくなるかもしれない。このような事態になる可能性もあることを忘れないで欲しい。

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