秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール摂取で引き起こす病気とは?内臓だけではなく脳や心臓にも負担」 (2/2ページ)

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 また、いくら飲んでも胃がんや肝硬変にならない人がいますが、負担が心臓にかかるとアルコール性心筋症やアルコール性脳症を起こす危険性があります。

 アルコール性心筋症とは、長年の多量飲酒で心臓の筋肉が障害を起こし、正常に機能しなくなる病気です。心臓の筋肉が弱まった結果、血液を送り出せなくなり、全身が酸欠状態になって心筋梗塞や心房細動を起こします。心房細動による不整脈が起こると血栓ができやすく、脳梗塞や突然死の危険性が高まります。

 アルコール性脳症とは多量の飲酒により脳が萎縮した末の認知症です。症状としては、判断力や記憶力が衰えたり性格が変わったりします。何事にも無関心になったり、うつ状態になることさえあります。

 つまり、飲んでも顔が赤くならない人は、飲酒習慣によって胃や肝臓だけでなく、糖尿病や心臓、脳の病気などにかかる可能性があることを自覚すべきでしょう。そう考えますと、顔が赤くなる人の何倍も病気のリスクが高いわけです。

 人と話さなくなった、二日酔いで仕事に影響が出た、飲みすぎて家族に暴言や暴力を振るうなどのほか、体が疲れやすい、食欲がない、手足がしびれる、下痢や吐き気がする、血圧が常に高い、吐血する。これらの症状は赤信号です。飲み続けると何かしらの病気にかかりますので、アルコールとのつきあい方を見直してください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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