天才テリー伊藤対談「立川志らく」(4)立川流の中で誰も談志を継がない? (1/2ページ)
テリー 師匠が今後目指していきたいことって、何かあるんですか。
志らく 伝統芸能というのは、師匠が死んだらその弟子の中に入り込んで、自分のやり残した落語・芸に対する未練を弟子と一緒に語りながら解消していくものだ、と思っているんです。だから、今、自分の体の中に談志は生き続けているんですよ。談志が死んだのは75歳、私は54歳なので、その年までに体の中の談志を消さなくてはいけない。
テリー 師匠を消してしまうんですか。それって、寂しくないですか?
志らく ずっといてもらっちゃうと、結局、私は「談志の足元にも及ばず」ということになりますから。20年もたてば世間も、談志やその芸を忘れてしまう。その時、談志を消せば、やっと師匠の足元に及ぶ落語家になれると思うんです。だから、まずはそこまで頑張ってみたいですね。
テリー なるほど。
志らく あと、テレビの仕事で、今まで見たことのない世界を知ることができたのも刺激になっています。例えば、ダウンタウンさんの人気があるのはわかるけれども、ただテレビを見ているだけだと「何がそんなにすごいんだろう、この人たちは?」なんて印象だったんです。しかし、実際に会って話をしてみると、「なるほど、こういうテクニックや感性があるから、ダウンタウンは生き残っているんだ」ということがわかりましたし。
テリー ハハハ、勝手にテレビには向いていないと思っていたのにね。
志らく まったくですよねェ(苦笑)。こういう刺激は、やっぱり芸人としては相当プラスだと思いますから。まあ、長々とテレビの世界で生きるわけにもいかないとは思うんですが、もし許されるのなら、あと10年くらいはこういう仕事をさせてもらえると、うれしいですね。