糸井重里さんが推した『世界一のクリスマスツリー』を巡る顛末|やまもといちろうコラム

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「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」HPより
「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」HPより

 非常に微妙な案件だなと思ってみていたのですが、毀誉褒貶が激しいプラントハンターの西畠清順さんが手がける神戸の『世界一のクリスマスツリー』騒動、まだまだ燃え上がっているのが印象的です。クリスマスなのにツリーが燃えるとかどういうことなんでしょうか。

 12月17日には『情熱大陸』でこの西畠清順さんが取り上げられるとかで、厭が応にも騒動に拍車がかかりそうなカロリー量です。

ほぼ日イトイ新聞 世界一のクリスマスツリーの植樹式。

神戸市「世界一のクリスマスツリー」で損なわれた「ほぼ日」のブランド価値 - 学びと食、ときどきランニング

世界一のクリスマスツリーについて脊髄反射で批判しない人々 - Togetter

糸井重里さんの「冷笑的な人たち」批判 【世界一のクリスマスツリー問題】 - Togetter

「そうはいっても、もともとクリスマスツリーなんて商業的な代物なのだから」と冷静に擁護する人も出てきていて、大勢を占める「感動の押し売りだ、でっち上げのニセモノだ」という声とともに絶妙なコントラストを見せているのが印象的です。

 また、今回は騒動の中核に「ほぼ日」の糸井重里さんがこの西畠清順さんのプロジェクトを告知、プッシュする側に回っているので、よりネームバリューの高い糸井さんに対するバッシングも数多く見られるのは有名税と言ったところでしょうか。かくいう私も、ちょうど一年前に糸井さんの「ほぼ日」については当時記事と広告が一体化していてどこからが受託した広告かが分かりづらいという指摘もした経緯があります。その際は、間に入った関係者が問題をきちんと認識して一定の着地をしたのですが、今回は協働している企画そのものが批判に晒されていることもあり、糸井さんもなかなか身をかわすことができない形になっています。

ほぼ全部ステルスマーケティングの糸井重里『ほぼ日刊イトイ新聞』の憂鬱

 どうしてこんな筋の悪い企画に乗っかってしまったのか経緯は分かりかねますが、すでに自治体としての神戸市やテレビ番組まで仕込んでしまったので引っ込みがつかなくなっているような気配すら感じます。さらには、このプラントハンター西畠清順さんのバックグラウンドである植木屋さんもご親族からスカンを喰らって代表取締役から西畠さんが追い出されてしまったのではないかという観測まで出てマジカオスであります。

西畠氏、植木の卸問屋「花宇」の五代目を首になっていた模様

『「世界一のクリスマスツリーPROJECT」からアスナロを助けたい!』

 このように、かなり「やってしまった感」が強い一件ですけれども、そもそも大きいクリスマスツリーを作ろう、それにまつわる感動的なストーリーを用意して、企画として多くの人に賛同してもらおうという流れ自体は決して悪くなかったと思うのです。自治体や糸井重里さんが「そういう話なら」と協力する気持ちを持つのもそうおかしくないだろうと思います。

 そして、懸案になるのは「やってしまった」ことそのものよりも、やってしまった後始末が「問題を分かっているだろうけど企画強行する」という後味の悪いもので、他に収拾案はなかったのかと思うととてももやもやするものを感じるんですよね。別に無理に「世界一の」に拘る必要も本来は無かったし、ストーリーも無理のあるものだと分かったところで方向転換することだってできたかもしれない。おそらく問題を収集するタイミングはその前にもあったはずが、強く前に押し出した結果、ネットで大いに批判されて看板が台無しになるという微妙な結論にいたったのは何故なんでしょうか。

「それでも、俺は西畠清順を信じる」と覚悟をして思い切ってのことであれば、それはそれで立派な決断なのかもしれませんが、次に何か仕掛ける企画はいま以上に厳しい視線に晒されてのことになるでしょうから、ほんとうに大変なことなんじゃないかと思います。それでいて、西畠さんを使い捨てたら今度は西畠さんが「あの企画は実はこうで、ボクは利用されました」とかやられるリスクだってありますし、ひょっとしてそういうことをまったく考えずに、非常に無邪気に「世界一? いいじゃなーい」とかいって走ってしまった案件なんだろうか、と心配になります。

  ある意味で「面白い企画をやる」ことが看板のすべてであるといっても過言ではない糸井重里さんが、この問題をどう面白く乗り切っていくのかは冷笑ではなく真顔でみていきたいと思います。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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