V9へ伸びた腕。帝京大のブロディ・マクカラン、異国日本で描く夢。 (2/2ページ)

ラグビーリパブリック

明るい性格と献身的なパフォーマンスですぐに信頼をつかみ、春先には通訳を介してのインタビューで「ずっと日本に残りたい気持ちもある。できれば日本代表になりたいです」と答えた。

「ファーストインタビューは、1年生の時。日本語は全然、できなかったです」

 いまはずいぶんと語学力を伸ばし、当時のことを自分の言葉でこう話す。チームではリーダー候補の1人に掲げられ、岩出雅之監督は昨秋の段階で「日本語をしゃべれるといっても、日本人の気質や歴史的背景なども勉強しないと。もちろん、それができそうだから言っているんですよ。そこを超えたら、主将候補」。学生同士で決める船頭役へ推される可能性を踏まえ、あえて宿題を課していた。

 

 当の本人も自覚を持っていそうで、リーダーに必要なことをこう明かす。

「自分で、やる。皆にやらせていては、信頼されないです。痛い、しんどいプレーを自分からやる。言葉は、他のメンバーも話します」

 今季は弟のニコラスも入学し、決勝戦ではインサイドCTBとして先発。得点につながる突破を繰り出したが、序盤は相手の激しいタックルを食らうなどやや苦しんだか。兄は笑って「弟に緊張があったのも知っています。ただ、1年生だとかは関係ない」と話す。あえて突き放す。

「ベストを出せ、って。家族には、厳しいからね」

 自身が弟と同じ立場の時に話していた「できれば日本代表に」という思いは、いまも抱き続けている。

「最初はオールブラックス(ニュージーランド代表)の夢を見ていました。ただ、ワールドカップに行きたい。日本人になって、ワールドカップに行きたいです」

 今後も、この日のような苦しい局面で「しんどいプレーを自分からやる」。国際舞台まで駆け上がりたい。

(文:向 風見也)
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