離婚後に最もトラブルになる「養育費の支払い滞り」の対処法

まいじつ

離婚後に最もトラブルになる「養育費の支払い滞り」の対処法

ある調査によれば、離婚した母子世帯の2割しか、元夫から養育費の支払いを受けていないという。養育費の不払いは子供の貧困原因に直結しやすい。離婚率が年々高くなっているだけに深刻な問題だ。

元夫が不払いの言い訳としてよく使うのが、失業や転職などによる収入減だ。子供を引き取った元妻としては、全額でなくとも、せめて約束の半分でもいいから、月々払ってほしいというのが本音である。こんな悩みを抱えたシングルマザーたちはどうしたらよいのか。

離婚関係を専門にする東京都内の女性弁護士はこう話す。

「まず、親は未成熟な子供に対して、自分と同程度の生活を保障する扶養義務(いわゆる生活保持義務)を負っており、父母はそれぞれの収入から子供の養育費を分担しなければなりません。養育費について調停で定めた場合、家庭裁判所に申し出ることによって、義務者に履行を勧告してもらったり、期限を定めて義務の履行を命じてもらったりすることができます。でも、履行勧告には強制力がなく、履行命令についても制裁が軽微なため、実効力に乏しい面があります」

そうだとすれば、元夫の“逃げ得”になってしまうが、ほかに方法はないのだろうか。

「強制執行」による差し押さえが可能

「確実に養育費を回収する方法として、調停調書に基づき、『強制執行』することが考えられます。この場合、義務者の資産や給料債権などを差し押さえることになるでしょう。給料債権について、一般的には、債務者の生活を守るため給与の4分の1までしか差し押さえられないとされていますが、養育費の場合は子供の生活に関わることなので、2分の1まで差し押さえることが認められています。また、養育費の支払いについて一部でも不履行があれば、履行期が到来していない将来の養育費についても執行することが可能とされており、滞納するたびに強制執行の申立てをしなくて済むようになっています」(同・弁護士)

しかし、裁判所に申し立てしなければいけないというのは、実際のところ、なかなか手間がかかる。なお、一度決めた養育費であっても、養育費を定めたときに予想できなかった重大な事情変更があった場合には、あとから減額や増額が認められることがあるという。

もし、元夫が本当に失業したり、転職して収入が減ったりしていれば、養育費の減額はあり得るということだ。逆に事業に成功していたりすれば、増額してもらえるかもしれない。

いずれにしても、まずは家庭裁判所の履行勧告手続きを行えば、元夫が支払わなくなった事情も明らかになるだろう。

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bee / PIXTA(ピクスタ)

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