仮想通貨”バブル”に群がる問題児たちと、のめり込む冴えない面々|やまもといちろうコラム

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仮想通貨”バブル”に群がる問題児たちと、のめり込む冴えない面々|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)
仮想通貨”バブル”に群がる問題児たちと、のめり込む冴えない面々|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)

 一時期は200万円以上をつけたビットコインの大幅な価格調整で4割以上の下落が発生、ここで多くの一般投資家が振り落とされたため、関連ビジネスが将来の「仮想通貨崩壊を見込んだ壮大なババ抜き」へと転換し始めています。

■ビットコイン暴落でも冷めない日本人の熱気 チャンスにかける個人投資家と取引所 | 最新の週刊東洋経済 - 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/205496

 東洋経済で二階堂遼馬さんが記事を掲載していますが、ここで見られるのは「(暗号通貨取引所大手の)ビットフライヤーの昨年12月における月間取引高は9.5兆円に上るが、そのうち現物取引は1.2兆円で、残りは証拠金を使ったレバレッジ取引(同社の場合は差金決済と先物取引)が占める。レバレッジの最大倍率は15倍」という結構びっくりな実態です。

 同じく大手他社の数字と見比べても恐らくこのぐらいの市場規模であろうと見られるわけですが、12月単月で9.5兆円で、レバレッジが最大15倍というのは投機として許容されるレベルからはかけ離れているという批判も恐らく出るでしょう。

 そして、そのビットフライヤー社はおそらく近い将来の上場申請に向けての投資家向けレポートを各証券会社経由で撒いております。証券会社側の見方もばらけておりますが、概ねビットフライヤー社の暗号通貨取引シェアは50%から70%程度、ビットコイン(BTC)取引の8割以上がレバレッジによる取引と見られます。要は、これらのBTC市場の大半が投資家の2階建によって支えられているということに他なりません。

 アメリカの証券取引委員会(SESC)での予測では、これらの暗号通貨の取引の総流通額は日本円にして月間15兆円から22兆円程度であるという見通しを出していたので、日本の投資家が3分の一から過半のシェアを持っていると見られます。その点では、うっかり仮想通貨の市場を放置していたらとんでもない高値で日本の投資家が掴みまくった可能性さえもあります。

 一番の問題は、仮想通貨そのものは別にこれといった資産の裏付けも無ければ、利便性が高いわけでもない代物であるということです。その根幹となる技術は優れていたとしても、これの派生サービスである暗号通貨自体が高値で流通するというのが異常です。したがって、中国や韓国、欧州ではこれらの暗号通貨の取引について規制したり禁止する通達を予定するなど、バブルつぶしに躍起になっている部分があります。

 一方で、わが日本はその仮想通貨の技術を使った暗号通貨の取引で主たる取引所を作り上げたビットフライヤー社の上場へ向けての動きを進める中で、先日『お金2.0』で物議を醸した佐藤航陽さん率いる新興企業メタップス社が、自社で保有する韓国でのイーサリアム(暗号通貨の一種)資産をどう決算で計上するかで大きく揉めました。同様に、仮想通貨の取引で株式上場を目指す上記のビットフライヤー社のレポートを見ると、黒字に転換した17年12月期は営業利益100億円超え、経常利益70億円余りなのに比べて、翌18年12月期はすでに業績がピークアウトして70億円台に減少しています。

 それもこれも、この仮想通貨の取引所という業態がある種の為替FXやぱちんこ、パチスロなどのギャンブリングの世界に近い様相を呈しつつ、資産性を持つために当局もこれから法改正を行うという状況で「逃げられるところは早めに上場してゴールしておいた方がいい」という状況にすら見えるわけであります。

 詐欺的なICO(暗号通貨に連動したトークンを発行し、少ない裏付けで資金を広く集める方法の一つ)が盛んになるのも、暗号通貨のトレードをどうするのか、仮想通貨を貨幣の一種として取引を認める当局の判断をどう受け止めるのかは至上命題です。それ以上に、みんなうすうす「こんなことは長くは続かない」と思う一方、「本当に値上がりしたら儲け損ねる」と考える投資家か、もう「一獲千金もあるかもしれないから、2階建てでもなんでもレバレッジかけて有り金突っ込む」人たちによって埋め尽くされているのが現状でしょう。

 これはもうバブル状態が続いていることの証左であって、手仕舞いするにできない人や、暗号通貨相場の急落で資産を大幅に失いロスカットもできず破産に追い込まれる人が出てきかねない状況になっています。革新的な技術なので、これを世界的なイノベーション競争に立ち遅れた日本の切り返しだとしたい一方、その市場がこれだけのバブル状態になり、2階建て以上のリスクを投資家に背負わせ爆走しているのだとすると、当局の不作為も責められかねません。

 当然、暗号通貨に取り組んでいるところはいったん踏んだアクセルをどう始末付けるのか悩んでいる状況でしょうし、いまやすでに投資してしまった事業の売却案件が乱舞しているのもまた、このババ抜きがもうすぐゲームの終わりを迎えることを示唆しているように思うのですが。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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