捜査が尻すぼみになったの「リニア談合疑惑」の事件概要 (2/3ページ)

まいじつ

「清水の関係者は『法的には争えるが、それと自主申告するかは別の問題だ』と打ち明けていました。違反を申告せずに公取委から多額の課徴金を科され、株主から経営陣の過失を問う株主代表訴訟を起こされるケースもあり、こうしたリスクヘッジ(危険回避)も視野に入れ、申告に踏み切ったのではないでしょうか」(同・関係者)

ある検察幹部は「捜査は証拠次第。1対3だろうが2対2だろうが関係ない」と冷静だが、別の幹部も「3社が否定するのと2社が認めるのとではやはり違ってくる」と依然強気を見せている。

4社には独禁法違反の疑惑も

リニア中央新幹線の施主(発注者)はJR東海だ。談合問題に詳しい法曹関係者は、株式が公開された民間企業である同社発注の工事について受注したスーパーゼネコン4社に『偽計業務妨害罪』を適用するのは、かなり無理があるという。

「一般的に民間企業は、どのような方式で、どこに発注しようと自由であり、発注手続について社内ルールが定められていても、会社の判断で変更することも可能です。ルールに反するやり方が行われたとしても、会社の意向に反しない限り『業務妨害』にはなりません。2002年に鈴木宗男衆議院議員に対する一連の捜査の過程で、『支援委員会』なる公的機関によるディーゼル発電施設発注に関して、発注者側から受注業者側への入札予定価格の教示などに『偽計業務妨害罪』が適用されたことはあります。しかし、この事例では、発注者の『支援委員会』には、政府が資金を拠出していたからなのです」

ただし、リニア工事は“巨大な利権”でもあり、当初はJR東海が単独の資金で行うとしていたのだが、巨額の財政投融資がおこわれるようになったという経緯もある。だから公的な資金も投入された国家的プロジェクトとも言えるリニアを巡る不正に斬り込むのは、特捜捜査の方向性としては理解できる。

そしてもうひとつの疑惑、4社が結託して準大手以下のゼネコンの参入を阻んだというものだ。事実なら独禁法3条前段の『私的独占』に該当する可能性もある。

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