北朝鮮の子どもが栄養失調に?ユニセフの支援呼びかけに批判続出のワケ

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北朝鮮の子どもが栄養失調に?ユニセフの支援呼びかけに批判続出のワケ(写真はイメージです)
北朝鮮の子どもが栄養失調に?ユニセフの支援呼びかけに批判続出のワケ(写真はイメージです)

 ユニセフ(国連児童基金)は1月30日、国連欧州本部での記者会見で、北朝鮮に住む約20万人の子どもたち(5歳未満)が食糧不足による栄養失調に直面していることを明らかにし、そのうち6万人の子どもたちは「死に至る深刻な栄養失調」の可能性があることを示した。

 韓国・統計庁の「2016北朝鮮の主要統計指標」によれば、北朝鮮の人口は2477万人。国民の4割は栄養不足という食料状況にあると言われている。ユニセフは、この背景に国連安全保障理事会の制裁決議があるとみている。ユニセフの「人道支援物資」も輸送ルートで制約を受け、燃料の高騰と不足に伴って、非常に届きにくい状況だという。その結果、しわよせが行ったのは立場の弱い子供たちであった。この事態に、ユニセフは年間1650万ドル、日本円で18億円の支援が必要だとし、国際社会に協力を呼びかけたのだ。

 だが、このユニセフの呼びかけに、SNS上では賛否の声が上がっている。「子供に罪はない。お金でなく人道支援物資なら日本も協力すべき」というユニセフに賛同する声がある一方で、「子供たちはかわいそうだが、結局食料分のお金がミサイル代に変わるだけでは?」「頼む相手が違うだろ!餓死する幼児の横で、ブクブク肥えてる奴に言えよ」「効いてる効いてる」「ミサイルにユニセフのロゴが入るだけです」など批判の声が目立っている。

■人道支援物資は子供に届かない?横領まかり通る供給システム

 ある新聞社の政治記者は「そもそも支援を増やしたところで、北朝鮮の子供たちに確実に届くかどうか分からない」と供給システム自体を疑問視する

「ユニセフは『物資が非常に届きにくい状況』と説明していますが、要するに横領・横流しの横行が問題なんです。多くの脱北者の証言によれば、海外からの支援物資は国家ぐるみの組織的な横領と、市場への横流しで、その殆どが子供たちには届いていません。韓国のNGO「北韓民主化ネットワーク」が脱北者500人に調査(11年)したところ、大多数の78.2%が支援食糧を『受け取ったことがない』との回答を得ている。しかも『受け取ったことがある』と回答した27.4%が支援された食糧を『当局の指示に従い返納した』と答えているのが現状です」

 このような状況も理解せず、安物のヒューマニズムに流されて、思考停止のまま支援する意味があるのか甚だ疑問である。日本政府と国際社会は、国連安全保障理事会の制裁決議を粛々と履行する。これが現状において、子供たちを一刻も早く救う手だてなのではないだろうか。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)
※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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