アルマーニ制服を導入する泰明小学校の薄っぺらい選民思想とアイデンティティ

デイリーニュースオンライン

Photo by ai3310X(写真はイメージです)
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 東京都中央区にある泰明小学校でイタリアの高級ブランド「アルマーニ社」製の制服が採用されて、波紋を呼んでいる。制服の導入は、同校の和田利次校長が独断で決定したといい、アルマーニがデザインを監修。対象は新1年生で、上着、ズボン・スカート、帽子で計5万円、替えのシャツを含めると、一揃えで約9万円するのだという。

「9万円という価格は、公立小学校の標準服として異例の高さだということで賛否両論の議論を呼んでいます。同校長は『泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環』と説明していますが、保護者説明があったのは昨年9月のことで、中には急な保護者負担を準備できない家庭が出る可能性もある。『アルマーニである必要はあるのか』『子どもが置き去りにされている』などと議論を呼んでいます」(週刊誌記者)

 140年の歴史を誇る同校があるのは銀座5丁目という一等地。第二次世界大戦の東京大空襲の爆撃にも耐え抜いた校舎は、緑の蔦が絡まり、日本有数の地域ブランド”銀座”の中でも異彩を放っている。この伝統と格式にふさわしい制服というのが、校長の言い分だが、そこには「銀座」住民たちの異常とも見えるエリート意識が見え隠れしているという。

■我が校は特別な存在?校長が見せる自意識過剰の選民思想

「和田校長は、17年11月17日に『平成30年度からの標準服の変更について』という保護者向けの文書を出しています。そこには『泰明小学校という学び舎の気高さ。この伝統ある、そして気品ある空間・集団への凝集性とか、帰属意識とか、誇りとか、泰明小学校が醸し出す美しさは保っていかなければ』などと書かれ、和田校長の『我が校は特別』という意識に溢れていました」(前出記者)

 たしかに泰明小学校はOBの愛校心も特別なようで、麻生太郎副総理(77)も8日の国会予算委員会でこの件に触れ、「小学校としては高いと言えば高いなとは思いますね。一人だけ買えないという人が出るとまたこれは難しいかなという感じはします」と感想を述べ、「(学校統合案で)泰明小学校を潰そうと思った時に全ての寿司屋のオヤジから『俺の母校だ』とエラいやられて、もう銀座歩けんと思いましたね」と話しているほどだった。

 だが、そんな特別さも、ただのブランド志向ではないかという声も上がっている。

「同校はとにかくブランド志向が強い。食育にも取り組んでいるんですが、15年に学校に招聘したのは銀座のミシュラン三ツ星の和食『小十』の奥田透氏。銀座には数万の飲食店があり、歴史を持つ料理店も多いのに、わざわざ創業10年ちょっとの新参和食を選ぶのはどうかという声がありました。また同校長が取り組む”江戸しぐさ”に関しても、史料的裏付けは確認されておらず、その提唱する伝統は創作された見せかけの”江戸風”でしかない論説が有力です」

 そもそもアルマーニの件も、銀座には政財界で御用達の老舗テーラーもある。そもそも銀座という地元との結びつきをうたうなら、海外ブランドより地元企業を優先すべきではないか。世界に誇るべき銀座のアイデンティティとは、見せかけの江戸に、海外ブランドというのは哀しいばかりである。

文・麻布市兵衛(あざぶ・いちべい)
※1972年大阪府出身。映像作家、劇団座付き作家などを経て取材記者に。著書は『日本の黒幕』、『不祥事を起こした大企業』(宙出版)など多数あり。
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