センター試験の「ムーミン問題」が示す日本教育の行き詰まりと未来 (2/4ページ)

新刊JP

この改革の重要性を認識している親はどのくらいいるという印象でしょうか?

井戸:変わることは知っていても、危機感を持ち、内容を調べたり、十分に理解をしてらっしゃる方は多くはないと思います。

教育改革が子どもたちのこれからの学びにどのようにつながるかを考えるよりも、「子どもを合格させなきゃ」「どうやったら合格できるの?」という目の前のことに考えがいってしまいがちで、改革で教育環境や社会がどう変わるかということにまで意識が向いている人は多くはないという印象です。

――大学入試を始めとした一連の教育改革の重要性を敏感に察知していたり、危機感を持っていたりする親には、何か共通点はあるのでしょうか?

井戸:危機感というものを持つときには、二つの軸があります。ひとつは、歴史的な流れや経緯を見ていく軸です。1979年に「共通一次テスト」が生まれ、約40年を経て制度疲労を起こし、今回の大学入試改革につながるといった流れですね。もうひとつの軸は、世界の潮流やグローバルスタンダードといったものです。

この「日本の教育制度の経過」と「世界の潮流」の2つが、今、大きくズレてきているという実感を持っている人は危機感を持っていて、改革の重要性に気づいていると思います。

たとえば、日本国内で仕事をしていても海外とやりとりしたり、海外の人材と触れ合う機会があったりする人なら「今の日本の状況はマズい」ということを肌で感じていると思います。インドでも中国でも優秀な人は増えているので、海外の教育システムで学んできた人たちのほうが、今の時代における「使える人材」だと感じて危機感を覚えることはあるでしょう。だからこそ、子どもを海外に留学させるなど、学びの機会を子どもに与えている親はいると思います。

今回の教育改革は、これからの日本の社会に大きな変化を与えるものだと思うので、お子さんが大学に行く行かないに関わらず、また、お子さんがいない方でも「大学入試改革がどんな意味を持っているのか」ということは広く国民の皆様に知って頂きたい事象ではあります。

――では、今回の教育改革で井戸さんが一番期待することは何ですか?

井戸:本書の中で佐藤先生は、「この改革がうまくいけば、日本社会のOSが変わる」と看破しています。

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