センター試験の「ムーミン問題」が示す日本教育の行き詰まりと未来 (4/4ページ)

新刊JP

――改革による変化の当事者である学生の反応というのはどうなんでしょうか?

井戸:私には中学三年生の息子がいるのですが、その息子に大学入試が変わることを知っているかを聞いたら「もちろん知っている」と言っていました。中学校の教育もすでに改革を前提に変化していっていて、彼らはそれが当たり前の事として2020年に高校三年生を迎えることになるので、対応は難しくないと思います。

ただ、彼らも大学入試改革なるものが、どういう意味を持つのかは興味があるところだと思うんです。誰もやったことのない事をやるので、その意味では子どもたちも不安だと思うんです。未知だからこそ不安なので、そこのところを子どもたちも敏感に感じ取っている部分はあると思います。

その不安を解消するには知るしかありません。佐藤先生もおっしゃっていますが「いい意味で変えなくてはと思うからこそ改革をしようとしている」と捉えることが大切だと思います。

もちろん、新しい試みなので批判も出ると思います。でも、その批判というのは今まで通りやったほうが安心できるからこそ出るものだと思うんです。特に私たち親世代の人間は従来の教育制度で育っていて、それを変えるということは、自分たちが否定されるという感覚もあると思います。けれど、それは否定ではなくて今の時代に合わせた動きです。古いOSから新しいOSに変えていくという試みでもあるので。

でも、考えてみれば今の中学生はすでに新しいOSなんですよね。私たちの時代にはなかったツールを使って、友達どころか世界中の人たちとやりとりをしていますよね。そういう意味では、子どもたちのほうが今回の改革には柔軟に対応していけるのかもしれません。 一方、保護者に対して学校でも「2020年大学入試改革」に関する説明会もありますが、古いOSである親世代の方が戸惑っていると思います。

(後編に続く)

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