玉木正之のスポーツ内憂内患「春日野部屋『暴行隠蔽』には呆れ返るほかない」 (2/2ページ)
しかし、北の湖理事長は既に死去。宗像危機管理委員長はテレビ番組で「聞いてない」と発言。貴乃花親方はノーコメント。
事実関係はともかく、これほど重大な暴行事件を公表しない(そして反省もしない)相撲協会の体質では、暴力行為は永遠になくならないだろう。
しかも07年6月に時津風部屋で力士暴行死亡事件が起き、暴力追放の運動を実践していた最中の「隠蔽事件」には、相撲ファンとして呆れ返るほかない。
貴乃花親方はこの事件を知っていたのか? 隠蔽に加担していたのか? この事件を知っていたから日馬富士暴行事件では、自分の部屋の貴ノ岩を守るために警察に訴えたのか? しかし、知っていたなら公表すべきだったのではないか?
さらに日馬富士事件に関しても、貴乃花親方が理事会に提出していた「報告書」がメディアによって改めて暴露され(貴乃花親方の仕掛けだろうか?)、八角親方などから貴乃花親方に対して、警察への告訴を取り下げるよう執拗な圧力があったことなど、事実関係に相当の違いがあることもわかった(再調査も必要だろう!)。
栃ノ心をはじめ、土俵上の力士たちは頑張ってる。が、もはや相撲協会を信頼している人など誰もいない。その信頼を取り戻すことが急務だと、「新理事」たちはわかっているのだろうか?
(玉木正之)