早咲きの名所 伊豆・河津桜が規制で大ピンチ

週刊実話

早咲きの名所 伊豆・河津桜が規制で大ピンチ

 早咲きの代名詞、静岡県河津町の『河津桜』が存続の危機を迎えている。原因は桜の“高齢化”と、それに伴う法律の存在だ。
 「河津桜は河津川の河口から上流4キロにわたって堤防上に約800本が植えられています。河津桜といえば両岸の桜のトンネルを愛でる観光客が大多数で、2月に開かれる『河津桜まつり』には毎年100万人近くの観光客が訪れ、経済効果は300億円にも達しています。ただ、土手に植えられている木は“基準違反”状態であるというのが国交省および静岡県の方針ですので、どのように残していくべきか、あるいはどういう方法で改修していくべきなのか、という課題に直面しているのです」(河津町観光協会)

 河津桜は最初の植樹から50年を超え、寿命から推定すると近い将来なくなってしまうのだが、最も見栄えのいい河津川沿いは河川法の規制で植え替えが難しい。植樹当時は違反ではなかったが、'97年の同法改正をきっかけに堤防上や川側の斜面に木を植えることが、治水に影響があるとして事実上できなくなった。
 「昨年末、県が主導し、町とともに立ち上げた『河津桜並木景観検討会』で、県は並木の将来像を示したのですが、それによると伊豆急河津駅前から延びる幹線道路沿いなどに回廊のような並木が新たに加えられた半面、川沿いは中央部あたりに空白が目立ち、残念ながら桜のトンネルは歯抜け状態になっています」(同)

 河津川は10年に一度の大雨クラスに襲われると水が溢れる危険がある。従って治水上「桜は堤防を弱める恐れがあり、この先、もし植え替える場合には、今の場所に植えてはいけない」というのが県のスタンスだ。
 「河津の桜まつりの経済効果は東伊豆全体に及んでいます。桜祭りが下火になると、周辺の宿泊客も一挙に減少すると心配です」(河津町産業振興課)

 300億円は惜しいが、洪水で人命や財産が喪失することには代えられないか…。

写真:伊豆河津桜祭り情報局より

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