日本Twitter社に広告掲載を拒否されたラノベ作者の言い分と実態|文◎やまもといちろう

デイリーニュースオンライン

Photo by PHOTO AC(写真はイメージです)
Photo by PHOTO AC(写真はイメージです)

 先日、ラノベのカバーイラストがポルノ認定されてTwitter社にカネを払ったのに広告掲載を拒否された件が話題になっていました。

■著作(ライトノベル)のカバーイラストがポルノ認定され広告を禁止された件についてTwitter日本支社に行ってきた話 - Togetter

https://togetter.com/li/1199029

 すでに結論をしっかり解説しているサイトがあり、半裸に近い若い女性のイラストを前面に出したラノベの広告は普通にNGの範疇なので、すでに広告費を払っていたとしてもすでに掲載されてしまった分は返金されずに広告は除外されて終わる話でしかないと思います。

■オンライン広告の請求と審査について勝手に補足します

https://youkoseki.tumblr.com/post/170855883900/ad

 著者の如月真弘さんはご不満のようですが、この表紙をそのまま掲載することはおそらくGoogleでもFacebookでもなかなかむつかしく、いったん配信されても配信中審査で落ちたりする可能性もあるでしょうから、そこは諦めろとしか外野としては思わないというのが実際です。むしろ、「こういうイラストが日本のラノベ文化なのだ」と多国籍企業に言い募ること自体が恥ずかしいからやめてほしいと感じるぐらいの情況です。

 この点では、著者が如何に理不尽と思おうとも、このイラストで大口の広告に掲載することはたぶん不可能で、Twitter社の判断に軍配が上がりそうです。

 それ以上に、著者が出版社(この場合はKADOKAWAファンタジア文庫ですのでKADOKAWA社)とは別に自力で広告を出すというのは頑張っとるなあという風にも思う一方、出版社の持つデジタル広告予算からこのぐらいの広告宣伝ぐらい担いでやれよという気持ちもしないでもありません。というのも、紙売りのラノベはいまやシリーズ売れ線からこぼれる作品は下手すると実売1,000部を切る作品も珍しくなくなっていて、電子書籍に流れるか、小説投稿サイト「なろう」からコミックスで出すとかそういう動きにならざるを得ないというのが実情です。

 ラノベ市場が伸び悩む中で作家をどんどん出していかないと回らない状況になっているのはどこも一緒でしょうから、著者もどうにかポケットマネーで広告かけたり自力売りを頑張る他ないというのが残念なところですし、出版社側も濫造しても先がないことは分かっていながら、そうしないとレーベルごと沈むのは避けたい一心で点数だけは出すというモードになっているところが多いのではないでしょうか。

 さて、今回の如月さんのお話の中で、ざわざわしている点がもう一つあります。これは、クレームを入れに行った際、Twitter日本法人が高齢の社員に跪(ひざまず)かせ、かしずくような対応を社の方針としてしているという内容です。

https://twitter.com/mahirokisaragi/status/963317389956755456

[引用]

現れた社員様は大変なご高齢で失礼な言い方をすれば明らかに定年後にクレーム係として再雇用され、twitterの仕組みに私より知識がありませんでした。そんなおじいさんがソファに座る私に対し、何十分も硬くて冷たい石の床に跪いている。座って下さいと頼みましたが、「こうすることになっています」と

https://twitter.com/mahirokisaragi/status/963318385252581376

[引用]

自分の祖父ほどの老人を足元に跪かせているのです。異常な光景です。段々こちらが悪いことをしているような気になってきて、強いことが言えなくなります。無論、それが会社の作戦なのはわかっています。姑息な作戦にお年寄りを使うtwitter社の魂胆に、私は正直、何よりも腸が煮えくり返りました。

◇◇◇

 この著者の体験談については事実関係は分かりかねますが、米国Twitter社に直接問い合わせたところ、そのような対応を求める社命はなさそうで、また、Twitterのマーケティング部門も「そのような事実は個人的には認識していない」と回答してきています。

 私自身も何度もTwitter社には足を向けていますが、そのような現場を見たことが無く、事実関係が良く分かりません。本当ならばそのTwitter社の対応はどうかなと思いますし、嘘松ならこの著者が前述のようなポルノ紛いのイラストを広告にぶっ込んだことも含めて業界からいなくなりそうな勢いですし、さてどうなんだろうといったところでしょうか。

 Twitter社からきちんとした回答があるかどうかは分かりませんが、何か続報があるようでしたら追記していきたいと思います。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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