本好きリビドー(191) (1/2ページ)

週刊実話

◎快楽の1冊
『ビートたけしと北野武』 近藤正高 講談社現代新書 800円(本体価格)

 まったく、ヘタな「文春砲」も数撃ちゃあいいってもんじゃない。たかが不倫ごときを理由にあたら一時代を築いた音楽家を結果的に抹殺してしまうとは何事か。もっとも小室哲哉氏もひ弱といえばあまりにひ弱で、何も泣いて引退表明までせねばならぬ必然性などどこにあろうか。
 こんな時どうしても、比ぶべくもないがやはり思い出してしまうのが'94年のバイク事故直前に、細川ふみえ嬢との交際を追及取材する芸能レポーターの群れに囲まれた際のビートたけし氏の「それがどうしたバカヤロー」である。毅然とか不敵とかをもはや飛び越えて完全に雑魚の集団を呑んだ巨鯨かと見紛うばかりの態度で、その威風堂々っぷりにむしろ天晴れ快哉を叫んだ人間の方が多かったのではないか。ふた言めには「コンプライアンス」が連発されるご時世に鵜の目鷹の目で散々見張って炙り出して叩きに叩いておいて、今更“勝新みたいに豪快に遊べる破天荒な芸人が少なくなった”云々だと? 一体どの面下げて言えるのか。少なくさせたのは誰なのか?
 連続強姦殺人の大久保清、寸又峡にライフル銃で立て籠もった金嬉老、三億円事件の黒幕から豊田商事の永野会長を衆人環視で刺した襲撃犯、果ては「イエスの方舟」の千石剛賢にエホバの証人輸血拒否事件の父親役に至るまで、戦後の昭和を騒然とさせた物語の主役たちをことごとく演じてきたビートたけし=北野武。本書はこの、恐らく日本芸能史上不世出の人物を、彼の持つ強烈な二面性を突破口かつ多角的に論じて出色の快著である。スーパースターの“スター”=星とは、“ホシ”=犯人でもあるのに気付くと版元が講談社なのも何かしら因縁めいたものを感じること僅か。
(黒椿椿十郎/文芸評論家)

【昇天の1冊】
 女性向けの人生相談本『お坊さん、「女子の煩悩」どうしたら解決できますか?』(青春出版社/1280円+税)。
 オヤジが圧倒的に多い週刊実話読者に、なぜこの本を紹介するかというと、貴殿の奥さん(または彼女)や部下の女性は、人知れずこうした悩みを抱えているということを、理解できる1冊だからだ。
 取り上げているテーマは恋愛、結婚、出産・子育て、おカネ、隣人関係など。

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