相続開始時点ですべきことはプラスとマイナスの財産の確認と後もう一つは?

心に残る家族葬

相続開始時点ですべきことはプラスとマイナスの財産の確認と後もう一つは?

相続放棄について質問を受けた際、最も多く質問を受けた内容は借金を相続しないで、財産のみ相続できないのかということだった。回答は残念ながら不可能だ。限定承認(民法第922条)という手もあるが、家庭裁判所において限定承認を得るのは困難な状況であるため、やはり相続は財産と借金を同時に引き継ぐことであり、財産のみというのは有り得ないのだ。

■限定承認とは?

因みに限定承認とは、相続人がプラスの財産の範囲内で借金等のマイナス財産を相続することを言う。但し、限定承認にも「みなし譲渡所得課税(所得税法第59条)」として、所得税が課税される可能性があるので、注意しなければならない。連帯保証に関して、多額の借金を相続することを回避する解決策は何と言っても相続放棄が最善となるが、何らかの理由で相続してしまう場合もある。相続してしまった場合に関して解説してみよう。

■連帯保証人になっていないかどうかの確認も必要

財産を有する者が亡くなった際、相続が始まることになるが、最初に行動すべきは財産と借金の確定並びに相続人の確定作業だ。それと同時に亡くなった者が借金の連帯保証人となっているか否かを調査する。

全ての作業が終わった時点で、財産がオーバーローン状態即ち財産よりも借金が多額であった場合、相続放棄等の対策を取ればいい。しかし、相続放棄の申述期間は三ヶ月以内となっているのでご注意を。では、三ヶ月を過ぎてしまった場合にはどうなるのだろうか。回答は、弁護士と相談しつつ家庭裁判所の判断を待つしかないのが実情だ。実際には三ヶ月どころか、相続税の申告、納付が全て終わった後に発覚する例が多かった。理由としては、借金の証拠である金銭消費貸借契約書を廃棄していた、恥ずかしさからか事実を隠したことだった。

■もしも連帯保証人を相続してしまったら?

相続放棄が家庭裁判所に認めて貰えず、連帯保証人の地位を相続してしまった場合にはどうすればいいか。それは次のとおりだ。

(1) 全額乃至は相続分において借金を返済する。
(2) リスケジュール即ち金融機関と借金の減額や返済方法について交渉する。
(3) 任意整理(最も合理的な方法)。
(4) 個人再生。
(5) 自己破産(最終手段、どうにもならない場合)

■基本的には相続放棄が最善策

考え方としては相続放棄が基本で、無理ならば任意整理という流れになる。何よりも亡くなる前に、財産と借金の内容を十分に把握しておくことだ。連帯保証人は誰か、条件はどうなっているか。金融機関の担当者や連絡先も重要な情報だ。ある程度把握できたら、資料とともに税理士や弁護士等の専門家に相談し、常に対策を練っておいた方が安心できる。最悪の状況を回避するためにも、一考に値するものと考える。

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