見た目は控えめ、会話で近づく。広報の黒バッグ #私たちのしごとバッグ (4/4ページ)

マイナビウーマン

そんな彼女はまさに広報向きだけれど、昔からあこがれの広報職を目指してがんばってきたわけではないという。

「私の中では、広報って説明する仕事っていうイメージがあって。人に説明するのが好きなので、やってみたいなと思ったんです。子どものころから、読んだ話や見た映画のストーリーを説明するのが好き。まわりは迷惑そうでしたが(笑)。一般的には派手なイメージのある職種だけど、実際は脇役だし地味ですよ」

広報として脇役に徹し、ていねいに説明し、相手に伝える。バッグは黒、時計も黒、見た目は目立たないようにしているけれど、会話で相手に近づく自信があるという。その秘訣は何なのだろうか。

「最近、早いんですよ。仕事でやり取りする記者さんと仲よくなるのが。扱ってる商品がガジェット系なので、男性記者の方が多いのですが、メールだけで仲よくなれることもあって。やっぱり適度にいじるのがコツですね。どこかしらパーソナルな部分に触れるようにしていて」

さらっとコツを教えてくれたけれど、そこまで仲よくない人をいじるって難しいはず……。

「仕事の付き合いだから、もちろん仕事の話をするんだけど、仕事じゃない話も出るような雰囲気を作ったり、実際そういう話題が出たら覚えておくことが大事。最近、『原さんには気軽にメールしやすいので、たいしたことない話でもつい聞いちゃう』と言ってもらえることが増えて、本当にうれしいです」

そういう彼女は、メールで仕事のやり取りをしたライターさんと、野球の話になった。一年後、ちょっとしたパーティで直接会う機会ができたときに、「ドアラが好きな原さん」と相手も覚えていてくれたという。なんて人の心を掴むのがうまい方なのか。

「いやいや、でも最初からコミュニケーションが得意だったわけじゃない。先輩がすごく上手で、相手をエレベーターホールにお連れする合間に、『そのスカートかわいいですね』と持ち物をさりげなく褒めて、グッと仲よくなるんですよ。そういうのを真似していくうちに、自分なりのコツをつかめるようになって。業界の話題や時事ネタはしっかりチェックして、隙あらば記者さんと連絡をとるようにしています」

コミュニケーション上手な彼女には、幅広く情報収集をしたり、コツコツ連絡をとる地道な努力があった。きちんと相手に伝わるような説明と気遣いを大切にする。目立つのは商品や相手であって、決して広報担当者ではない。黒のバッグには、脇役としてのポリシーを貫く彼女の強い意志がにじみ出ていた。

(取材・文:橋元理恵/マイナビウーマン編集部、写真:masaco)

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