秋津壽男“どっち?”の健康学「他人からも指摘されづらい口臭の危険とは。口内の問題だけではなく内臓疾患の可能性も」 (2/2ページ)

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肝機能が低下していると、アンモニアを尿素に分解する代謝回路の働きが鈍り、血液中のアンモニア量が増えます。その結果、口臭がアンモニア臭となるのです。

 こうした口臭は“病的口臭”と呼ばれ、重篤な病気のリスクが高まるので内科で要因を確かめてください。

 さらに、舌苔(ぜったい)が口臭の原因の場合もあります。これは舌が白く苔状となり、舌の新陳代謝で剥がれた細胞や細菌が繁殖して固まる症状で、ドライマウス(口腔乾燥)になるとできやすくなります。下水のような口臭を発する舌苔の原因は口呼吸やいびき、薬の副作用による唾液減少、更年期障害、喫煙、糖尿病や人工透析などです。舌苔は重病のシグナルではないものの、不調を示すサインであることには変わりありません。なるべく早めに医師に診てもらってください。

 中には、舌苔で舌が白くなるとブラシなどで磨く人がいますが、舌が乾いている状態で磨くと舌を傷つけて細菌を繁殖させやすくなりますので逆効果です。

 ちなみに、便秘も口臭が発生します。腸内ガスが血管を通じて運ばれ、肺から放出されて口臭となるのです。便秘を解消させるべく食物繊維や乳酸菌を含む食品を摂取してください。

 気を遣って他人からも指摘されにくいのが口臭です。家族から言われた場合、前日の飲食が原因でなければ病気を疑ってください。「口臭は大病の源」でもあるのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「他人からも指摘されづらい口臭の危険とは。口内の問題だけではなく内臓疾患の可能性も」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 3/29号“どっち?”の健康学秋津壽男ガン口臭カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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