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「会社分割をして自社の株価を下げる」という事業承継対策の落とし穴

会社の事業の一部を切り出して、別法人にその事業を承継するスキームを会社分割と言います。この会社分割を行うことで、不採算事業を切り離したり、優良事業を切り離したりすることができ、経営を円滑にすることができると言われています。
ただし、中小企業においては、会社分割は多くの場合、株価対策として使われると言われます。具体的には、以下のような手法が使われている模様です。

■会社分割による株価対策とは?

(1)会社分割により採算部門を子会社として切り出す
(2)切り出した後の会社には不採算部門と子会社株式が残る
(3)切り出した後の会社の利益が小さくなることから、類似業種比準方式で計算すると、株価が下がる

■類似業種比準方式は子会社の利益を見ない

上記で株価が下がると申し上げましたが、その理由は、類似業種比準方式の場合、子会社の利益は原則として関係なく、オーナーが持っている会社の利益だけで見ることになるからです。このため、会社分割でオーナーの会社から優良部門を切り出せば、その分オーナーが持っている会社の利益は減ります。

類似業種比準方式は、会社の利益などに応じて株価計算を行うため、オーナーが直接持っている会社の利益が下がればそれだけで株価が下がり、有効な対策になるという訳です。

■それほど甘くはないという話

ただし、実際にこのようなスキームを組んでみると、多くの場合上記のような理屈は成り立たないと言われます。その理由は、子会社の株価を計算する際、その株価が大きくなり一定の金額を超えれば、評価対象となるオーナーが持っている会社(子会社の親会社)は、類似業種比準方式を使えないという規定があるからです。

上記の通り、優良部門を子会社として切り出すため、子会社の株価は必然的に大きくなり、どうしてもこの規定の対象になってしまうことが多いのです。類似業種比準方式が使えなくなると、高い子会社の株価なども踏まえて評価する純資産価額方式のような方式で評価せざるを得なくなり、結果として分割を行った意味がなくなる、といった事態が生じることになります。

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