鈴木哲夫の政界インサイド「二階幹事長に囁かれる森友抹消『ウルトラ奇策』」 (2/2ページ)
会期中となれば空白期間を作るわけにはいかない。そこで臨時総裁選で後継総裁・首相を選び、9月にもう一度、総裁選を行う。すると、石破茂氏はもちろん、岸田文雄政調会長や野田聖子総務相も出馬してくるだろう。短期間のうちに2度の総裁選をやれば、候補の乱立となって、マスコミや世間の目はそちらに向き、森友も野党の存在も完全に吹っ飛ぶ。奥の手どころか奇策でしかないが、豪腕の二階俊博幹事長ならウルトラCをやりかねない」
一方の野党は「佐川氏の喚問は入り口」として、真相究明の手を緩めない方針だ。今後は昭恵夫人、夫人付の政府職員だった谷査恵子氏、売却当時の理財局長だった迫田英典氏らの証人喚問につなげていこうという道筋を描いている。
しかし、野党陣営からは、総辞職シナリオを警戒してこんな声も聞かれるのだ。
「安倍首相でいてくれたほうが、来年の統一選や参院選にも勝てる。押すばかりでなく、時には引いたりする高等戦術で、安倍政権を低空飛行のまま引っ張ることはできないものか‥‥」(連合幹部)
佐川喚問が終わっても、公文書改竄の真相は遠い。だが、森友政局は与野党それぞれの思惑が交じり合い、次のステージを迎えたことは確かだ。
ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。