「いい選手がいる強み活かしきれてない」。明大、春季3連勝に浮かれぬわけ。 (2/2ページ)
以後はノックオンを犯しても、相手ボールスクラムを押し返した。前半だけで35-0とほぼ勝負を決め、田中監督は「難しいゲームになるとは思っていましたけど、入りがよかったのでよかった。きょうは雨なので、多少キックを使わなきゃいけないと選手同士で話してくれていた」と振り返った。
流経大のNO8、粥塚諒にはこう言わしめた。
「明大さんのいいアタックに対してディフェンスで前に出ようと練習してきたんですけど、どんどん明大さんのテンポで進められた。キック処理の部分も課題です」
東海大戦で課題となった後半も、まず2分にWTBの矢野がフィニッシュ。初めて失点して9分には、ペナルティキックからの攻めでHOの武井日向がインゴールを割る(ゴール成功で49-7)。
先発SHの福田主将らが退いていた33、39分にも加点し、田中監督は「ちょっと中だるみはしかけましたが、最後は締めた。前回よりは成長してくれた」。シーズン本格化は秋以降とあって「大事なのは、最後に勝つこと。ピークはまだまだ先です」とくぎを刺すのも忘れなかったが、指揮官は総じて部員の頑張り称えた。
もっとも福田は、あえて厳しいレビューをする。
対する新人WTBのイノケ・ブルアに1トライ1アシストと走られ、攻めても球を失うことがあった。これらの原因を、選手交代後の連携不良に見たのだろう。全国から実力者の集まる明大のリーダーとして、こう反省したのだった。
「いい選手がたくさんいて、先発の15人だけでなくリザーブを含めた23人で戦えるのが明大の強み。ただ、それをまだ活かしきれてないのかなと思いますね。自分たちのやるべきことを80分間やり続ける、ということができていない。(今後は)4年生が自覚して後輩たちをリードしていくのが大事です。あとは後半から出るメンバーの役割を明確にしていけば、80分間、23人で戦えると思います。秋になって疲労、けが人が出てきたなかでは、選手層の厚さが強みになる。そこを目指してやっていきたいです」
普段は寮内で愚痴を言わないよう4年生に働きかけるという福田は、22年ぶりの大学日本一を目指すにふさわしい態度を追い求めている。まずは他校との相関関係より、自軍の出来だけを見つめる。
(文:向 風見也)