南北融和で観光客誘致?北朝鮮の巨大リゾート計画

まいじつ

Jemastock / Shutterstock
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北朝鮮の東部沿岸の拠点都市、元山(ウォンサン)にある広大な葛麻(カルマ)海岸観光地区で“巨大リゾート計画”が進んでいる。国際空港の葛麻飛行場には、今年1月31日に馬息嶺スキー場で平昌五輪に出場する北朝鮮、韓国選手団による南北合同スキー練習が行われるのに伴い、韓国の襄陽(ヤンヤン)国際空港からアシアナ航空によるチャーター便が運航したことは記憶に新しい。

「このリゾート計画は、2018年の金正恩党委員長による『新年の辞』で初めて発表されたもので、アメリカのプラネット・ラボ社が運用する観測衛星『スカイサット』による4月27日付の衛星写真を解析したところでは、異常なスピードで建設作業が進められているのです」(北朝鮮ウオッチャー)

北朝鮮はこのような突貫工事を“○○行軍”や“速度戦”と呼ぶが、このリゾート計画の特徴は大きくふたつある。

衛星写真を見ると、現場作業員のための仮設住宅・施設が短期間で大量に造られ、リゾート建設現場を三方から取り囲んでいる 韓国メディアの4月の映像によると、スタジアム照明が現場を取り囲むように設置されており、24時間体制で作業がおこなわれている

これらのことから分かるのは、北朝鮮の大規模建設プロジェクトで通常でもおこわれる軍の兵士の大量動員がされていることと、過重労働が強いられ過労死などが起きているということだ。

「建設現場の全長は4.5キロメートルを超え、ピラミッドのような形状をしたビル群、プライベートヴィラ(別荘風の宿泊施設)、人造湖などさまざまな施設が建設中であることが分かります。ですが、いったいどこの国からの観光客をあてにしているのでしょうか…」(北朝鮮ウオッチャー)

成功しないと分かっていても…

北朝鮮が日本、アメリカ、韓国との関係を劇的に改善し、観光交流が自由になったとしても、人気リゾート地になる可能性は低いだろう。

「北朝鮮の観光業分野の指導層は、これが“捕らぬ狸の皮算用”になるだろうといことくらいは分かっています。しかし、金正恩にだめだと進言できるわけはありませんから、とにかくやり遂げるしかないのです」(同・ウオッチャー)

マルクス経済下の国では、リゾート地は造る費用より維持費が大変だということが分かっていない。

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