日大の悪質タックル事件で思い出す「日大全共闘」

まいじつ

sacco / PIXTA(ピクスタ)
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「日大アメフト事件で思い出される明大」――。何のことかと言うと、日本大学の脱税と多額の使途不明金発覚により同大学生が1968年に『全学共闘会議』を結成し、大学側と繰り広げた攻防戦、いわゆる“日大闘争”を指揮した秋田明大(あきた・あけひろ)議長のことである。

「20億円を越える大学側の経理不正問題の表面化をきっかけに、教職員組合や父兄会をも巻き込み、全国一の動員力を誇った全学共闘会議の議長だったのが秋田氏でした。やがて全共闘は日大を超えて全国の学生運動に影響を与えるようになったのです」(元全国紙社会部記者)

現在、国民的関心事になった日大アメリカンフットボールアメフト部の悪質な反則タックルに端を発した事件については、第三者委員会の設置が決まったとはいえ、しっかりとした対応がされるとは限らない。これまで福島原発事故から企業不祥事まで“第三者”の立場から客観的な判断が下されなかった例は多いからだ。これらは例外なく“第三者からのお墨付き”を得たとして幕引きの材料に使われてきたにすぎない。

「負傷した関西学院大学の選手側は、5月31日に内田正人前監督らについて傷害容疑の告訴状を警視庁調布署に提出しました。日大教職員組合も同日、大学の抜本的改革を求めて要求書を大学側に提出しています。このなかで、田中英壽理事長、大塚吉兵衛学長の辞任、内田氏の解任などを求めていますが、日大に自浄作用を期待できるはずもありませんから、外圧を加えるしかないでしょう。といっても日大闘争時代と違い、いまの学生気質では実力行使に出るようなことは起こらないと思います」(同・記者)

秋田氏にアメフト事件について聞いたら…

ところで秋田氏は、1994年に全共闘白書編集委員会によって行われた全共闘参加者へのアンケート調査に寄せた回答では以下のように答えている。

――もう一度「あの時代」に戻れたら運動に参加しますか?
「しない。アホらしい」

――運動による損害は?
「有名になったこと」

――運動を離れた主因は?
「別にないが強いて言えば生活」

――当面の最重要課題は?
「生活」

このようにそっけないものだ。

あるメディアが今回の事件について秋田氏に電話で見解を求めたところ「日大のアメフト部?」、つまり今回の問題に関心がないようであった。

やはりあの時代は遠くに行ってしまったのだ。

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