秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール依存症は自覚できるのか?『飲酒の量』では判断できない6つの基準」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール依存症は自覚できるのか?『飲酒の量』では判断できない6つの基準」

 未成年者への強制わいせつ行為でジャニーズ事務所との契約を解除されたTOKIOの元メンバー山口達也さん。記者会見では酒による肝機能障害で1カ月入院しており、メンバーからも「アルコール依存症ではないか」と言われていたことが判明しました。

「退院後、つい飲んでしまった」という本人の証言などさまざまな状況から診断すると、医師としては「アルコール依存症」だと言わざるをえません。ではここで質問です。そもそもアルコール依存症は本人が依存症だと自覚できるのでしょうか。

 WHO(世界保健機関)が作成したアルコール依存のチェックリストでは、過去1年間で、次の6項目のうち3項目以上に該当した場合にアルコール依存症と診断されます。

【1】「お酒を飲めない状況で強い飲酒欲求を感じたことがある」

【2】「自分の意思に反してお酒を飲み、予定より長い時間飲み続けたことがある。あるいは予定よりたくさん飲んでしまったことがある」

【3】「飲酒量を減らしたり飲酒をやめた時に手が震える、汗をかく、眠れない、不安になるなどの症状が出たことがある」

【4】「飲酒を続けることでお酒に強くなった、あるいは高揚感を得るのにお酒の量が増えた」

【5】「飲酒のために仕事やつきあい、趣味、スポーツなどの大切なことをあきらめたり、大幅に減らしたりした」

【6】「酒による体や心の病気があり、それが酒の飲みすぎによると知りながら、それでも酒を飲み続けた」

 以上を読んでわかるとおり、アルコール依存症は「飲酒の量」では判断されません。極端な話、毎日一升の酒を飲んでいても、翌日普通に仕事ができて体も壊さずにいられれば「健全な大酒飲み」であり、依存症とはなりません。

 酒を飲まないとイライラしたり、飲んではダメな時でも飲まずにいられないのが依存の基準です。「退社後、家に着くまで我慢できず駅のホームで飲んでしまう」「翌朝運転するのに、酒が抜けない時間まで飲んでしまう」など自制がきかないのは完全な依存症です。「それでも飲んでしまう」「わかっちゃいるけどやめられない」わけで、自覚はしているのがアルコール依存症の特徴です。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「アルコール依存症は自覚できるのか?『飲酒の量』では判断できない6つの基準」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 6/14号“どっち?”の健康学秋津壽男アルコール依存症カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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