朝鮮半島融和の陰で「脱北者と拉致被害者」に冷たい韓国大統領

まいじつ

(C)KYTan / Shutterstock
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6月12日に史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開かれた。韓国の文在寅大統領は、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩党委員長が星条旗と北朝鮮国旗の前で握手をする場面をテレビ画面を通して見守り、満足そうな笑みを浮かべた。

南北の融和が目に見えて進んでいる。しかし、その一方では韓国政府が『脱北者同志会』への支援を打ち切ったことで、同会は事務所の移転を余儀なくされている。

「同志会は1999年、黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記を名誉会長として発足し、脱北者の就業や教育の支援を行ってきた団体です。現在、韓国に住む脱北者は3万人強に達しており、この会は20年近い歴史を持っています。関係者によれば、事務所の賃貸料や職員2名分の人件費に相当する政府支援金が、昨年12月に打ち切られ、事務所を維持できなくなり4月に移転したとのことです」(ソウル在住日本人ジャーナリスト)

北朝鮮の人権問題を扱うほかの市民団体も、昨年5月の文在寅政権の発足後に企業からの支援が途絶えている。文政権は4月27日の南北首脳会談で合意した板門店宣言を根拠に、金ファミリーのスキャンダルを暴くビラを風船などにつけて飛ばす活動も自粛するよう求めたが、この費用の出所を締めたのだ。

このため、右派系の団体は、文政権は北朝鮮への人道支援に積極的な一方、金政権が激しく反発する人権問題には消極的だと批判している。

拉致問題に向き合わない文大統領

韓国の拉致被害者家族も同じような境遇だ。1950年代の朝鮮戦争時代を中心に、北朝鮮は10万人近い韓国人を拉致したとされている。

「韓国では、保守政権当時の10年、拉致被害者の名誉回復のための特別法が成立し、昨年、文政権発足前に政府の委員会がまとめた報告書には、北朝鮮は拉致を認め、政府は解決に努力すべきだと明記されています。ただ、歴代左派政権は北朝鮮を刺激する拉致問題に及び腰で、過去2回の南北首脳会談でもこの問題には触れられていません。今年4月の南北会談でもこの問題を持ち出すよう文政権サイドに呼び掛けましたが、一蹴されています」(北朝鮮ウオッチャー)

業を煮やした『朝鮮戦争拉致被害者家族協議会』の李美一(イ・ミイル)理事長は、大統領府前で「拉致問題を議題にしろ」と書いたプラカードを持ち、たったひとりでデモを始めている。

「韓国では多人数のデモは原則禁じられているので、やむなくひとりでのデモを敢行しているのです」(同・ウオッチャー)

文政権は北朝鮮に忖度し過ぎている。

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