中国・習近平国家主席「時代錯誤」のカミングアウト

まいじつ

(C)plavevski / Shutterstock
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先ごろ、中国の習近平国家主席がマルクス信奉者であることをカミングアウトした。

生誕200年をきっかけにマルクスに関心が集まっており、出身地であるドイツのトリーア市には巨像が設置され、中国の祝賀式典で習主席は「抑圧や搾取のない理想社会への道筋を示した」とマルクスを称賛した。

「習主席はダボス会議で『自由貿易の旗手は中国である』と宣言し、保護貿易的なイメージのあるアメリカを揶揄しましたが、4月の海南省ボアオ(博鰲)で開催された『ボアオ・アジアフォーラム』でも、中国は自由貿易政策を推進すると公約しています。その舌の根も乾かぬうちに『マルクスは正しい』と演説するのですから、どう見ても論理が矛盾しています。また習主席はリベラル主義を否定しています。このため中国のマルクス経済学系学者が、マルクス主義こそリベラル主義の産物ではないかと習主席に反論しましたが、習主席には馬耳東風でした。習主席にしてみれば、『俺のやり方に文句があるか』、対外的には自由貿易、対内的にマルクス主義でいいじゃないかということなのでしょう」(日本在中国人ジャーナリスト)

北京の人民大会堂に3000人を集めて開催した『マルクス生誕(5月5日)200年記念、兼「資本論」刊行170周年記念』の学習会で、習主席は自らの思想を「21世紀のマルクス主義」と宣言した。その上で、「マルクスは全世界のプロレタリアートと勤労人民の革命の教師であり、近代以降のもっとも偉大な思想家」と礼賛し、“習思想”が現代のマルクスに匹敵すると定義したのである。

中国知識層はマルクス主義を批判

1980年代からすでに、北京大学で『マルクス経済学』を講義すると学生は失笑していた。いまの中国の若い世代ばかりか、共産党員ですら「マルクスって誰?」であり、知識層は「マルクス主義は外来思想であり、中国の伝統にはそぐわない」と批判している。

「文革時代に下放されて田舎で生活し、勉学不足の習主席の世代は、マルクスに一種の郷愁を覚えるのかもしれません。ともかく拝金主義、市場経済に酔う中国で、マルクスが復活するのは時代錯誤以外の何物でもありませんよ」(同・ジャーナリスト)

中国共産党には正統性がない。“毛沢東主義”は中国において被害者が現存しており、レーニン主義やスターリン主義は旧ソ連製だから受け入れるわけにはいかない。残るはマルクス主義を掲げるしかないのだろうが、こんな時代錯誤な指導者が中国マネーで世界を支配下に置こうとしているのだ。

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