身寄りなく孤独死をした方の葬儀費用は行政負担?傾向と対策は?

心に残る家族葬

身寄りなく孤独死をした方の葬儀費用は行政負担?傾向と対策は?

2017年9月の新聞に以下のような内容の記事が載っていた。70代の男性が自宅で孤独死しているのが見つかった。残された遺書には、かすれた筆跡で所持金が15万円しかないこと。火葬して無縁仏にしてくださいというお願い。自分を引き取る人はいないということが書かれていた。男性宅で市の福祉部の人が、この遺書を見つけるが、故人の大事に残した15万円も行政が勝手に使うことはできずに宙に浮いたままで葬儀費用の20万円ほどのお金は市の公費で負担されたという。

■生前に意向を聞いておくことで高齢者は安心

この市では、このようなことがあった以降、生前の独居高齢者と有償の契約を交わし、葬儀社や寺を紹介し、事前に費用を支払っておくことで死後の供養を保証するサービスを立ち上げたという。今後、自宅で孤独死する高齢者の数は急速に増加すると予想されている。国立社会保障・人口問題研究所では、2015年度の独り暮らしの高齢者は全国で592万人。10年後の2025年度には、700万人を突破するという予測が出ている。

■このまま放置すれば町の様子が大きく変わる

では、このまま何もせずに手をこまねいているとどうなるのか。孤独死のおきた部屋の後片づけを担う特殊清掃業者に聞くと夏場に死後1週間以上たって見つかった場合などは、においがこびりついて半年ほどは次の人を入れることは出来ないのではないかという。また、以前は孤独死が集合住宅で多かったが、最近では一軒家でもよくおきているという。一軒家で身寄りのない高齢者がお亡くなりになると残された家の処分が大きな問題になる。冒頭のケースのように個人の財産を行政が勝手に何も出来ないということである。要するに、管理者のいない空き家が地域で広がるということで、町の様子も大きく変わると予想される。このような孤独死が地域で広がると孤独死が個人の問題にとどまらず、地域全体の重荷にもなりうると警鐘を鳴らすメディアも出てきている。

■今後の一人一人の意識変革が大事

今の時代、「人生100年時代」に突入したといわれるように、戦後の日本の環境は大きく短期間で変わってきた。それは、建物や町の形といったハード面だけではなく、平均寿命、家族のあり方、そして死生観といったソフト面にも大きな変化が起きていると思われる。しかし、その変化に行政も市民一人一人の感覚も対応できていなかったことは事実であり、重く受け止めなければいけない。そして、目を背けることなく真正面から向き合っていく時が来たと思う。国の法整備や各自治体の対応も遅れることなく手を打っていくことを願い、我々市民が現状を知ることが大事であると思う。

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