未だに定期的に流行する地域も。ペストに関する知られざる5つの事実 (4/5ページ)

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 50キログラムのペスト菌を500万都市の上空で放つと、15万人が感染し、3万6000人が死ぬという。これは都市の中だけの見積もり数だが、市民は感染を避けようと町を脱げ出そうとする可能性が高く、さらに感染は広がると思われる。

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 アメリカは、兵器として使えるほど十分なペスト菌をあえて作ろうとはしなかったが、今日でも、誰かがペスト菌を生物テロの手段として使った場合の手はずは考えている。


・ペスト菌が本当に恐ろしいのはなかなか死なないこと

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ペストによって死屍累々となった街を描いたヨーロッパの絵画

 何世紀にもわたって人類の文明の中にうまいことはびこっているのに、ペスト菌は宿主の体の外では1時間以上生き続けることはできない。

 温度には低くても高くても耐性があるが、太陽光にはけっこう敏感で、基本的に長いこと居座られるとほとんどの生物は死んでしまう。

 病原体として成功するには、いかにノミの体内で生き残ることができるか、そのノミが齧歯類の体で生き延びることができるかにかかっている。

 実際にこれが、現代でもわたしたちのまわりからペスト菌が消滅しない理由だ。

 1860年代に始まった、中国での深刻な大流行は、1894年までに香港へ広がった。そこから、ペスト菌は船に乗って世界中の港町へとわたっていった。

ついには、アメリカ西海岸の町へと上陸。都市でのペスト菌はすぐに根絶されたが、ネズミを封じるのは至難の業だった。

 ネズミとリスを介して、ペスト菌は地方へと広がり、1世紀以上にわたって、はびこったのだ。
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