秋津壽男“どっち?”の健康学「熱中症で気をつけるべきは温度と湿度どっち?加齢により低下する体温調節機能を自覚すべし」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「熱中症で気をつけるべきは温度と湿度どっち?加齢により低下する体温調節機能を自覚すべし」

 この夏は全国で記録的な猛暑となりました。消防庁のデータによれば、8月12日までに熱中症で救急搬送された人数は約8万人、死者は144人に上ったそうです。暑さのピークが9月上旬まで続く可能性も考えられるため、まだまだ注意が必要です。

 さて、熱中症患者は最高気温が25度を超えると増加し、30度を超えると死亡者が出ると言われていますが、ここでお題です。熱中症の危険度の指標として、温度と湿度はどちらをより意識したほうがいいでしょうか。

 まず、人体は暑さを感じると熱を冷まそうとしますが、汗をかいただけでは体温自体は下がりません。実際は、汗が蒸発する際の気化熱で体温が下がる仕組みなのです。100ccの汗をかくと体温が1度下がるので、まずは汗を拭くよりも、うちわなどであおぐのが体温を下げるためには効果的です。

 意外と知られていませんが、熱中症予防には汗の乾燥が肝心です。湿度が高いと汗が蒸発しにくく熱中症の危険性が高まるのです。例えば、気温が高いハワイで熱中症になりにくいのは、風が吹いて空気が乾燥しているためです。

 環境省は、暑さの危険性を測る数値として「暑さ指数(WBGT)」を発表しています。これは熱中症を未然に防ぐための指標で、熱中症要因となる「湿度・日射や地面からの照り返し・気温」の3つを取り入れた数値です。計算式は「気温(度)×0.1+湿度(%)×0.7+輻射熱(地面や建物、太陽から出る熱=MJ/平方メートル)×0.2」(屋外の場合。屋内では「気温×0.3+湿度×0.7」)となっており、湿度が熱中症の要因として数値全体の7割を占めています。

 環境省の熱中症予防情報サイトを見ると、最高気温34.8度で最少湿度42%、日射量18.79MJ/平方メートルの日における暑さ指数は28.6度で熱中症搬送数56人となっていますが、最高気温が33.2度と低いにもかかわらず、最少湿度が54%、日射量21.85MJ/平方メートルになると、暑さ指数は30.2度、熱中症の搬送数も100人との事例があります。

 これを見ただけでも、熱中症で注意すべきが温度より湿度であることがわかります。

 暑さ指数は次の4段階に分かれています。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「熱中症で気をつけるべきは温度と湿度どっち?加齢により低下する体温調節機能を自覚すべし」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2018年 9/6号“どっち?”の健康学秋津壽男熱中症社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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