天才テリー伊藤対談「宝田明」(4)名前どおりのお宝話がすごすぎるよ (2/2ページ)
テリー 当時の大卒の初任給が1万2~3000円ですから、すごい額だ。
宝田 「これで一杯飲み屋や焼き鳥屋の借金が一気に返せるな」と思ったんですが、岡田や藤木あたりが、「おう宝田、主役よかったな」なんて、たかってくるんで、すぐなくなりましたけどね(笑)。
テリー 本当に仲がいいんだなァ。でも、本を読んであらためて思ったんですが、宝田さん、ものすごく記憶力がいいですね。満州の頃の記憶もそうですし、三船敏郎さんが宝田さんに黒澤監督のあれこれを愚痴った話もおもしろかったですよ。
宝田 「蜘蛛巣城」の話ですね。鷲津武時演じる三船さんが無数の弓矢に狙われる有名なシーン、普通ああいう時はピアノ線を使って矢を誘導するものなんですよ。ところが、あのクソ馬鹿リアリズムの黒澤明という人は、それを使わない。
テリー 本当に三船さんを狙って矢を射ったんですよね。怖い話だ。
宝田 ええ。射ったのは、いわゆる範士・錬士と呼ばれる弓道の名人たちなんですが、これがみんな腰の曲がった老人ばかりでね。しかも20メートルぐらい離れたところから狙ってくるから、もう本気で逃げ回るんです。三船さん、「黒澤の野郎、いまにバズーカ砲でぶっ殺してやる!」って言っていました(笑)。
テリー アハハハハ、お名前どおりの、お宝エピソードだらけですよ。まだまだいろいろ聞きたいのに、全然時間が足りないなァ。
◆テリーからひと言
まさに永遠の二枚目。さらにその記憶力のよさにも驚かされました。これからも、日本の宝として第一線でご活躍を。また楽しい話を聞かせてください!