『なでしこ』飛車角なしで“金”をもぎ取った高倉監督の「今だから言える」こと

週刊実話

 女子サッカー「なでしこジャパン」高倉麻子監督(50)は、“重圧”で胃に穴が開く思いだったという。インドネシアのアジア大会で、激戦を戦いぬいた結果、ようやく手にした金メダル。ホッとしたというより苦しかったというのが本音だろう。

 8月31日、中国との間で行われた決勝戦の激闘は記憶に新しいが、むしろ高倉監督の表情は準決勝のときから暗かった。
「準決勝の試合後、『勝ったことがすべて』とコメントしていましたが、つまりは内容が悪かった上に、練習でやってきたものが一つも出せなかったということです。ただ、苦しい展開になるのは予想していたようで、『氷の上を歩くような試合になる』ともこぼしていましたよ」(専門誌記者)

 その準決勝の相手は、宿敵・韓国。後半41分に相手のオウンゴールで辛勝するというまさに薄氷の勝利だったが、高倉監督の表情が冴えなかったのは、試合内容だけが理由ではなかった。

 女子サッカーでは、日本は韓国よりもレベルが高い。ゆえに「勝って当然」という立場であり、しかも、4大会連続での決勝進出というプレッシャーもかけられていたからだ。

 とはいえ、高倉監督はベストメンバーで臨んだわけではない。今大会では所属クラブの日程から、川澄奈穂美や猶本光といった代表の常連である海外組を招集していない。国内組にも故障者がいた。

 つまり、将棋でいえば“飛車角”なしで戦わざるを得ない状況に追い込まれていたわけだ。
「それでも優勝を義務付けられての現地入り。なでしこは近年の低迷で人気もガタ落ちしており、優勝しないとマズイというのがサッカー協会の意見。高倉監督は、その重責を負わされていたのです」(関係者)

 その影響だろうか。「現地では高倉監督が酒を仰ぎ、千鳥足で宿舎に帰っている」などという情報も流れていた。こちらはまったくのデマだったが、気持ちは分からなくもない。
「4月のアジア杯で日本は優勝しましたが、その影響で日本は対戦国にかなり研究されていました。決勝の相手である中国にも勝っていますが、監督が代わっており、かなり日本を意識した言動をしてプレッシャーをかけていました」(前出・専門誌記者)

 高倉ジャパンの合格ラインを聞けば、なでしこが国民栄誉賞を授与した2011年時と同じだという。とはいえ、かつての司令塔・澤穂希の後継者となる選手も現れておらず、ハードルは高い。

 高倉監督は「出場機会の少ない選手たちがふんばって最高の形で終われたことは、チームにとって財産だ。勝ちながら課題を見つけて進んでいけることは幸せなこと」と振り返った。アジアの頂点に立ったことで、『高倉ジャパン』は2年後に向けて確実な一歩を踏み出した。

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