武士の肝試し:幽霊なんか怖くない?頼光四天王「平季武」の肝試しエピソード(上) (3/4ページ)
「千人の敵さえ恐れない貴殿とて、こんな夜更けにあの川は渡れまい」
原文「千人ノ軍(いくさ)ニ一人懸合(かけおう)テ射給(いたも)フ事ハ有トモ、只今其ノ渡ヲバ否(え)ヤ不渡給(わたりたまわ)ザラム」
自分の度胸を否定されてカッとなった季武はしばらく口論となりますが、結局「そこまで言うンだったら、今から渡って来てもらおうじゃねぇか」という流れとなり、
「せっかくだから、何か賭けようぜ」
原文「只ニテハ否不諍(え あらそ)ハジ」
と、みんなそれぞれの甲冑や兜、弓や胡録(やなぐい。矢を収める道具)、駿馬に鞍も載せて、自慢の名刀などを賭けました。
もし季武が川を渡れなければこれらのものをみんなに差し出し、もし季武が川を渡れたら、みんなが季武にこれらのものを差し出す。
そう約束して肝試しが始まりましたが、果たして季武は、川を渡ることができるのでしょうか。
季武の宣言、そして若武者たちが覗き見たモノ季武は宣言します。
「俺が川を渡った証拠として、向こう岸の川原にこの矢を突き立ててくるから、明日の朝でも行って確認するがいい」
原文「此ノ負タル胡録ノ上差ノ箭(や・矢)ヲ一筋、河ヨリ彼方ニ渡テ土ニ立テ返ラム。