世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第290回 日本は消費税増税をしてはならない (1/3ページ)

週刊実話

本人も覚えていないだろうが、安倍晋三総理大臣は総理に返り咲く前の2012年6月、自身のメルマガで、
「(前略)つまり現在のデフレ状況が続けば、消費税は上げないということです。しかし、野田総理のこれまでの委員会答弁は、この点があいまいであると言わざるを得ません。要は民主党政権を倒し、デフレからの脱却を果たし、経済成長戦略を実施して条件を整えることが大切です。そして、『その条件が満たされなければ消費税の引き上げは行わないこと』が重要です」(出典:安倍晋三メールマガジン'12年6月27日号)
 と書いている。

 '03年以降のCPI、コアCPI、コアコアCPIの対前年比(%)を見てみよう。ちなみに、CPIは「総合消費者物価指数」、コアCPIは「生鮮食品を除く総合CPI」、コアコアCPIは「食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合CPI」という定義になる。エネルギー(原油、LNGなど)の輸入が多い日本の場合、物価に関するデフレ脱却の指数はコアコアCPIでなければならない(日銀は「コアCPI」だが)。

 '14年4月以降、消費税増税で「強制的」に物価が引き上げられたものの、消費を中心とする需要縮小で物価は再びマイナス圏に墜落。コアコアCPIは'17年にゼロ%を切り、直近('18年8月)でも対前年比+0.2%にすぎない。

 要するに、安倍政権はデフレ対策に失敗したのだ。そもそも、消費税増税という「需要縮小策」を強行しておきながら、デフレ脱却も何もあったものではない。

 自民党総裁選に勝利した安倍総理大臣は、9月20日の記者会見で、
「今後3年間の任期中にデフレ脱却の道筋をしっかり付けていく」

 と、語った。5年半も「デフレ脱却」を掲げておきながら、今更何を言っているのか、という感じだが、デフレ脱却していないという「現実」を認めたことは評価する。これまでの「(デフレ脱却していないにも関わらず)もはやデフレではない状況を作り出せた」といった意味不明な発言よりはマシである。

 「日本はデフレ脱却している」などと強弁する人はさすがにいないだろう。日本がデフレ脱却できない理由は、そもそも物価とは、「誰かがモノやサービスを買う=需要を増やす」ことなしでは上がらないためだ。

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